日本初開催となる「Web 2.0 Expo」が11月15日、東京都内で開幕した。ウェブの最新技術と、それ可能にした新しいビジネスについて語られるカンファレンスは、Web 2.0提唱者として知られるO'Reilly Media 創業者でCEOのTIm O'Reilly氏とネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏の対話セッションでスタートした。
まず、O'Reilly氏が1人で登壇。Web 2.0の定義を振り返ったうえで、「Web 2.0は、その形態はもちろん、ビジネスモデルも、どれだけ多くの人を巻き込んでいるかという点でも、まだ発展途上にある」と付け加え、伊藤氏を壇上に招いた。
2人の対談は、O'Reilly氏がお題を出し、伊藤氏が日本の状況、O'Reilly氏が米国の状況を踏まえた考察を述べるという形式だった。
日本でのWeb 2.0の広まりについて、伊藤氏は「日本もWeb 2.0のトレンドに向かって動いているが動きは遅い」という見解を述べた。
変化が起きにくい背景として、日本ではベンチャービジネスの展開が難しいこと、国内市場規模が中途半端に大きいため、国内市場ばかりに注目して国際的な動きに鈍感になりやすいことなどをあげた。
伊藤氏は「日本ではトレンドの波は、米国のように小さな波がいくつも押し寄せるのではなく、たまに大きな津波がやってくる形」と語る。「波乗りに失敗したら溺れてしまうが、うまく波に乗れば大成功が納められる」という意味だ。
日本のベンチャーの難しさについての議論で、伊藤氏が「80%の米国人が起業家を尊敬しているのに対し、日本では10%以下」という調査データを紹介すると、O'Reilly氏は「米国では、人々が失敗したビジネスについても敬意を払っており、いくつもの失敗を重ねたシリアルアントレプレナーも尊敬されている」と語った。
グローバル市場対日本市場という話題では、伊藤氏が、米国で成功しているからといって、そのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込もうとしても失敗することが多いという考察を述べ、マイクロソフトやヤフーが成功したのは、日本の企業を積極的に回ってサービスや製品を広げた偉大な経営者がいたからだと解説した。
ただし、伊藤氏も日本に対して完全に悲観的なわけではない。「ほとんどのイノベーションは米国で起きているが、それに日本で独自の味付けが加わり、やがては米国に逆輸入されるということもある」と展望を述べた。例として、米国生まれのSecond Lifeを携帯電話で利用できるようにしたベンチャーが日本にあることを紹介した。
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