しかし、YouTubeの海賊版クリップの多さが、多くのメディア関係者を怒らせた。YouTubeの利用者は気に入ったテレビ番組や映画を録画してはYouTubeに投稿している。ハリウッドに対しても、海賊行為の防止ということになると、Googleは積極的な態度を示してこなかった。2007年に入ってから、Viacomが著作権侵害を理由にGoogleに対して10億ドルの支払いを求める訴訟を提起する事態に発展した。
それと同時に、ViacomとNBCは、自社にとってのYouTubeの必要性について再検討に入った。両社はビデオを自社サイトやそのほかのウェブポータルを介して配信する試みを拡大させていたのだ。
テレビ番組の「Heroes」は現在、「iTunes」や「NBC.com」のサイトで視聴可能になっており、数週間後にはHulu.comでも見られるようになる。Viacomのコメディー番組である「The Daily Show」は、同番組のサイトにログオンすれば視聴できる。
Googleがコンテンツ制作側にもっと低姿勢で臨めばコンテンツを失わずに済んだのだろうか。大手メディアが料金を提示したとき、おとなしく受け入れるべきだったのだろうか。こうしてもし、メディア側をYouTubeのトラフィックに依存させ、好きなテレビ番組を探す利用者をYouTubeに引きつけておくことができていたら、メディア側がYouTubeと手を切るのはもっと難しくなっていたかもしれない。
しかし、Googleにとっても多様な選択肢があったわけではないだろう。こうした筋書きでは、Googleが屈強な門番となることを意味し、音楽に対するiTunesと同じ役割をビデオに対して担っていたかもしれない。そして、放送業界も映画業界もレコードレーベルと同じ轍を踏むまいと心に決めている。おそらく、NBCなどが自滅するのは時間の問題だっただろう。
YouTubeは、当面、毎日のように登場する多数のテレビ番組そしてNBCやViacomなどと、プロの水準には遠く及ばないコンテンツで視聴者を争奪することになる。
今後数カ月間、YouTubeは権利を持たない著作物を削除し続け、われわれはユーザー生成コンテンツの真価を見ることになるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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