日本進出を表明したPtoPコンテンツ配信企業の米BitTorrent。同社の社長兼共同創業者であるAshwin Navin氏が9月25日、Web2.0の成功者と目される講演者が集うイベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007」に登場し、「変わるハリウッド〜P2Pの可能性と未来」と題してPtoPをめぐる状況の変化と自社ビジネスの展開について講演した。
PtoPの歴史を見ると、まずNapsterが1999年に登場し、一世を風靡した。しかし、音楽業界の訴訟攻勢によって撤退。その後RoxioがNapsterの資産を買収して音楽配信サービスを開始している。2001年には集中サーバを持たず分散化の進んだアーキテクチャを採用したBitTorrentが登場し、Linuxディストリビューションの配信に使われるなど人気を博すようになる。
米Yahoo!でM&Aなどの企業戦略に関わっていたNavin氏が、BitTorrentこそHTTPに代わる次世代のプロトコルになりえると確信したのは2003年のことだという。翌2004年には、BitTorrentによるビジネスを展開を実現するために企業を設立した。
BitTorrentの設立当時、米国においてもPtoPは海賊版を流すものというアンダーグラウンドなイメージが強かった。こうしたイメージを覆すため、Navin氏は大手映画スタジオを説得していったのである。
「2004年以降、NapsterがなくなってもCDの販売は右肩下がりを続けていました。その一方、PtoPを通じて1日に100万本のコンテンツがダウンロードされるようになっていたのです。このような状況のままでは、CDで起こったのと同じ販売不振がDVDでも起こってしまう。そこで、逆にPtoPをビジネスチャンスととらえてほしいと、1時間かけて訴えました」
無法状態で使われるPtoPはコンテンツ産業にダメージを与えるが、適切に管理された状況ならばPtoPはコンテンツ産業に利益を与える。Navin氏の主張は多くの企業に受け入れられ、BitTorrentは15の映画スタジオとコンテンツ配信で協力関係を結んだ。同社の「BitTorrent Entertainment Network」サイトでは、コンテンツプロバイダーが提供する何千というコンテンツがすでに配信されている。現在、Blu-ray、HD DVDによる次世代光ディスクの主流争いが起こっているが、映画スタジオはPtoPを第3のHDコンテンツ用メディアとして認知するようになってきているという。
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