Viacomは、個人のビデオ制作者が著作権を所有するクリップを同社のテレビ番組に使用して、「公正使用(Fair Use)」であると主張している。そして、そのビデオ制作者は、自分の作品が使われたテレビ番組のコピーをYouTubeに投稿したのだが、Viacomはこれを著作権侵害であると主張している。
Viacomを非難する人々はもちろん、これを偽善以外の何ものでもないとみなすが、ウェブビデオ作成者にとってはこの状況を知っておくことが重要かもしれない。
大手エンターテインメント企業であるViacomは、Knight氏の作品に対し、大きく編集を加え、その一部を解説の一部として使用しただけであり、これは「公正使用」に該当するとしている。同社は、2007年に入ってからYouTubeに対し、著作権侵害を促したとして10億ドルの賠償を求めた訴訟を起こした。公正使用という言葉は、教育や研究、ニュース報道などにおいて、著作権で保護された作品の部分的な使用を許可する著作権法の一部分を指すものである。
Viacomの主張は目新しいものではない。ウェブにおいて多くの人々が、著作権で保護された作品を使用する際は「公正使用」に言及する。今回の件に関して目新しい点は、これまではViacomが関与する場合はほとんどいつも、Viacomが告訴側であったという点である。
今回の事件の発端は次のとおりである。独立系ビデオ制作者であるChris Knight氏は米国時間8月29日付けの個人ブログに、同氏は2006年秋、地元の教育委員会に選出されるための活動の一環としてプロモーション用ビデオを数作品作成したと書き込んだ。同氏が「Death Star」で学校校舎を爆破するという内容のこれらのビデオは、後にYouTubeに投稿された。
Knight氏は、ViacomはVH1の番組「Web Junk 2.0」で同氏のビデオを笑いものにしたと記述している。
Knight氏はブログで、「同番組の放映前にVH1やその親会社であるViacomからの連絡はなかった」と記述している。「本件に関しViacomなどからの連絡は全くなかった」(Knight氏のブログ)
番組では同氏自身の作品がはっきりと使われていたため、Knight氏は自分はWeb Junkの映像をYouTubeに投稿してもよいのだと思った。Knight氏は29日、Viacomの要請により同クリップが削除されたことをYouTubeから知らされた。Knight氏は愕然とした。
Knight氏は、「私の作品を使用した同社の映像からYouTubeクリップを作成したら、著作権侵害だとして訴えられた」と記述している。
今回のケースでは、ViacomとKnight氏によるお互いの映像の使用方法が鍵となると思われる。Viacomは映像の一部を同社の番組に挿入し、解説を加えたと述べている。一方Knight氏は、Web Junkの映像をそのまま投稿している。第三者が借用したコンテンツの量が、裁判所が「公正使用」であるかどうかを判断する際の判定材料の1つとなる。
どのようにこの事件が決着しても、Knight氏のビデオとViacomの対応が、今後著作権侵害で訴えられるYouTubeビデオ制作者らにとって重要な先例となるだろう。
解説のために編集したクリップを使用する場合は、問題はないとViacomは主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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