なにかと物議をかもしていたオンライン音楽サイト、Allofmp3.comが約束どおり再開したら、ロシアが2007年中に世界貿易機関(WTO)に加盟するチャンスがなくなる可能性がある。
「われわれは引き続きロシアのWTO加盟を支援する。だが、WTO加盟を実現するには、ロシアは特に知的財産所有権の分野でこれまでの公約を守る必要がある」と、米国代表として国際貿易協定の交渉を行っている米国通商代表部(USTR)の広報担当者、Sean Spicer氏は指摘する。
この発言が十分に明快でないというなら、Spicer氏はこの点についてもっと単刀直入に、次のように述べている。「Allofmp3.comのようなサイトが運営を続けている状態では、ロシアはWTOに加盟できない」
ロシアは公約を遵守しようと努めてきた。少なくとも、2カ月前にAllofmp3.comを閉鎖し、同社のオーナーであるDenis Kvasov氏を著作権ならびに知的財産関連の法に違反したとして提訴した。ロシアの貿易担当当局にとって問題なのは、Kvasov氏がどうやら合法的にサイトを運営していたらしいことだ。モスクワのチェリョムーシュキ裁判所は、Kvasov氏に無罪判決を言い渡した。
Allofmp3.comに書き込まれたメッセージは、Allofmp3.comの再開を利用者に通知しているが、その時期については明らかにしていない。理由は不明だが、メッセージの日付は現地時間8月31日になっている。
レコード業界は、Allofmp3.comは無法な小売業者だと主張している。Allofmp3.comは、著作権保有者の許可なしに楽曲をデジタルダウンロード配信している。ロシアで活動するアーティストのグループには著作権料を払っている、とAllofmp3.comは主張してきたが、全米レコード協会(RIAA)は認めていない。
米国の貿易担当当局は長年、ロシア当局に圧力をかけてAllofmp3.comを閉鎖させようとしてきたが、Allofmp3.comは米国とロシア双方の音楽業界と政府規制当局を無視し続けている。
一方、2007年中にWTOに加盟するというロシアの希望はかなえられそうもない。WTOは排他的なクラブで、ロシアがそこに参加しようと必死になっているという図式だ。
WTOは、貿易に関するルールや規制について合意した150カ国で構成されている。WTOに加盟すると、その国の企業は海外に製品やサービスを販売するのが容易になる、とSpicer氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス