米国時間6月13日夜に開かれたFacebookのアプリケーション開発者向けイベント「Facebook Developer Meetup」の雰囲気は、ネームプレートに黒い太書きのマーカーで「I NEED AN APP(アプリケーションが欲しい)」と書いた、小ざっぱりした若き起業家の姿に集約されていた。
ウェブサイトはまだ形にすらなっていなかったが、その若者は自分のサイトを構築するために「Facebook Platform」を使ってアプリケーションを作れるようになりたい、いや、そうならなければ、とさえ思っていた。Facebook Platformとは、人気のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)「Facebook」が5月にリリースしたアプリケーション開発プラットフォームだ。
これで、Facebookのユーザーが自分のプロフィールに追加できる独自のアプリケーションを、サードパーティーの企業や開発者も作成できるようになり、多くのウェブ関連企業にとっては、「Facebook用アプリケーション」を制作することが最重要事項となった。特に、Facebookに夢中になっている大きなユーザー基盤を利用して成長しようと考えている小規模企業にとっては大事だ。
ミュージシャンや映像作家が自分のデジタルコンテンツを共有、販売するためのツールを提供する「Cruxy」の制作者であるNathan Freitas氏は、次のように語っている。「(Facbook Platformは)すごいプラットフォームだ。まったく素晴らしい。実にいろいろな点について考えが練られており、正直なところ、アプリケーションを開発するのが楽しい」
しかし、リリースから1カ月も経たないというのに、Facebook Platformは飽和点に近づきつつあるのかもしれない。Facebookのプラットフォーム担当ディレクターDave Morin氏がビデオ会議システムを通じてDeveloper Meetupの参加者に語ったところによると、プロジェクトに参加したいという開発者からの申し出が4万件を超え、今までのところおよそ1500本のアプリケーションが作成されたという。最も人気の高い数本は、ゼロから出発して3日で85万人のユーザーを獲得したとのことだ。「インターネットの歴史にもこんなことは前例がない」と、Morin氏は開発者たちに語った。
このイベントを主催したAmit Gupta氏は、「人々は最初、間違いなく『アプリ疲れ』を起こすと思う」と述べた。写真のコツを伝授するメールマガジン「Photojojo」を発行しているGupta氏は、Facebook Platformを利用して、このメールマガジン用のアプリケーションを作成した。「私の仲間の間でも、そういう兆候が一部に見受けられるように思う」と、Gupta氏は続けた。
しかし、Facebookを創設したMark Zuckerberg氏(この日、予告なしにイベント会場に現れた)は、Developer Meetup終了後の取材に対し、サードパーティー製のアプリケーションについて煩わしいとか秩序を損なうとか思う人がいるかもしれないが、ユーザーにサイトの構築をすべて委ねるというFacebookの全体的な理念にとっては重要なものだ、と語った。
Zuckerberg氏は、「われわれがどうやってサイトを構築したかを考えてみるといい。従来のやり方なら、われわれが自分で情報を収集し、(まるで電話帳のように)ディレクトリを構築しただろう」と述べる。Facebookではそうではなく、人々が進んでメンバーとなり、自分のプロフィールを作成できるようにした。「大まかに言うと、われわれはこのサイトをできる限り分散化したものにしたいと本当に思っている。分散化されたシステム化は効率がよくなるものだ」と、Zuckerberg氏は付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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