米国時間6月15日は、「ブロードバンド業界の慣行」を精査する連邦規制当局への意見提出の締め切りだった。提出された意見の大部分は、ネット中立性の要件を厳格に課すことの是非について、よくある言い訳に終始していた。
メディア複合企業NBC Universalの場合はそうではない。同社の社内弁護士Richard Cotton氏は米連邦通信委員会(FCC)に対し、特別な取り決めを通じてネットワーク事業者がコンテンツに優先順位をつけるのを禁じることが賢明かどうか、という問題に拘泥すべきではないと主張した。この議論に欠けているのは、「インターネットのトラフィックに盗品が占めている割合は巨大で、それがますます増加している」という認識だと、Cotton氏は書いた。
15日にFCCの意見記録に掲載された計10ページの文書(PDFファイル)の中で、FCCは今や、「ブロードバンドサービスのプロバイダーは、ブロードバンド帯域が不正にコピーされたコンテンツの送信に使われることを防止する手段を、すぐに利用可能な状態にしておく義務がある」という原則を正式な書面で確立すべき時期を迎えていると、Cotton氏は書いている。
Cotton氏はこう続ける。「こうした手段が、比較的ローテクでも効果が見込める方法、たとえば著作権利侵害が確認された顧客に警告を送信することなどになるのか、あるいは高性能化が進む帯域幅管理ツールを使うことになるのか、さらにはそれをいつオンラインで実施するのか。どうなるにせよ、これらの手段を導入する義務を明確にしなければならない」
物議をかもしているデジタルミレニアム著作権法(DMCA)はすでに、著作権者の許可を得ていないコンテンツがサーバにアップロードされた場合に、ウェブホスティング企業がなすべきことを定めている。一般的には、著作権侵害コンテンツに気づいた場合は見て見ぬふりをせず削除するという条件で、ウェブホスティング企業は法的責任を負うことを免除されている。
NBCが意見書で展開した主張によると、現実には一部プロバイダーが、コンテンツの違法コピーが発覚した契約者への通告を拒否し、こうした違反行為の形跡を無視してきたという。同社は、ピアツーピア(PtoP)のファイル共有ネットワークは問題だとして名指しし、帯域幅の多くを占有するPtoP利用は著作権侵害を助長するだけでなく、「法を順守する消費者」にインターネットサービスの品質低下をもたらすと主張している。
Cotton氏はこう書いている。「消費者にはコンテンツプロバイダーに競争させる権利がある。しかし、一方のプロバイダーは欲しいコンテンツを盗み、もう一方は大金を費やして合法なチャンネルを開発し配信するという結果を招くような、不公平な競争であってはならない」
FCCのサイトに設置された電子コメント投稿システムのコーナーには、原稿執筆時点でほかに1万件近くの文書が掲載されている。その大部分は一般市民からの投書のようで、草の根グループが準備した定型文から明らかに着想を得たものも散見される。また、通信企業、ケーブルテレビ企業、インターネット企業といったいつもの顔ぶれも見られる。
その一方で、多くの投稿者たちは、ネット中立性の問題を正面から論ずるのではなく、むしろ「消費者を高額な契約解除手数料のついた長期契約で」縛っているブロードバンド企業への不満を訴えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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