米国ホロコースト記念博物館は「Google Earth」と手を結び、スーダンのダルフール地方における集団虐殺を視覚化し、さらなる理解を促す手段を編み出した。
このプロジェクトは「ダルフール地区における危機」(Crisis in Darfur)と呼ばれる。米国時間4月10日にはホロコースト記念博物館があるワシントンDCで記者会見が行われ、内容が発表された。このプロジェクトに興味をもったインターネットユーザーは、写真、データ、目撃者による証言など、同博物館が整理したインタラクティブコンテンツが盛り込まれたGoogle Earthのレイヤをダウンロードできる。「ダルフール地区における危機」のレイヤを選ぶと、虐殺により破壊されたスーダン国内の地域にズームインし、詳細な衛星写真が見られる。被害を受けた村の数は1600以上にのぼり、中には全滅した村もある。拡大するとモスク、学校、住居などの10万以上の建物が見えてくる。
ダルフール危機を扱ったこのレイヤの情報源はさまざまだ。米国務省、国際連合、この地域に入った写真家たちから寄せられたものもあれば、ホロコースト記念博物館所有のコンテンツもある。
今回の試みは、ホロコースト記念博物館とGoogle Earthによる、「Genocide Prevention Mapping Initiative」(集団虐殺を防ぐ地図作成の取り組み)の第1弾だ。両者は、市民や各国政府から大学や非営利団体などの機関に至る、さまざまな対象に世界の人道危機を知らせる共同作業を継続して行っている。さらに同博物館は「ホロコーストの地図作成」も発表しており、これもスーダンの場合と同様、レイヤのかたちでヨーロッパにおけるホロコーストの歴史を視覚化、図表化するものだ。こちらのレイヤもすでに公開されているが、今後、長い時間をかけてさらに情報を追加していく予定だ。
2005年6月に登場したGoogle Earthは、今や世界で公称2億人を超えるユーザーを持つまでに成長した。競合企業による他の3D地図アプリケーションと同様、Google Earthも単に地理情報を表示するツールを超えた存在になっている。例えば、米環境保護庁(EPA)は1月17日、Google Earthを利用して有害物質に汚染された地域を地図上に表示する計画を発表した。また、米国立公園局や、Discovery Networkといった情報源から、Google Earthにコンテンツを追加するレイヤが提供されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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