IBM、ソーシャルネットワーキング利用の企業向けコラボレーション戦略を発表

文:Candace Lombardi(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2007年03月29日 21時33分

 マサチューセッツ州ケンブリッジ発--IBMは米国時間3月28日、ソーシャルネットワーキングを利用することで、企業の製品開発の能率をあげることを意図するコラボレーション戦略を発表した。

 「Innovation Factory」は、IBMの研究部門が利用しているソリューションで、同社によれば、ソーシャルネットワーキング技術を使うことで企業の迅速な立案や新製品およびサービスのテストを助け、これまで数年間かかった製品開発プロセスを数日間にまで短縮させるものだという。

 「IBMは、われわれが研究所で利用していることを公開していくという、新たな方針を推進する」と、IBMフェローであり、IBM Researchで協力的ユーザー体験担当ディレクターを務めるIrene Greif氏は記者会見で語った。

 IBMでは社内で協力し、APIを共有し、研究が進められている内容に関して知識を増やすため、従業員はWeb 2.0技術を使ったツールを「Lotus」の一部として、また単体のアプリケーションとして利用しはじめている。

 Lotusソフトウェアの開発および技術サポート担当バイスプレジデントのAlistair Rennie氏は、次世代の同僚たちに遅れをとらないためにこうした変化が必要なのだと説明した。

 「学校を出て職場に入ってくる人々は、現代的なコラボレーションツールが使えるものと考えている。われわれの世代なら電子メール、現在の大学生ならインスタント・メッセージング(IM)、高校生となると、Web 2.0式のソーシャルネットワーキングは使い慣れたものになっているだろう」とRennie氏は言う。

 Rennie氏の考えは今回示された多くのLotus製品に反映されており、そのうちのいくつかは、1月に開催されたLotusphereカンファレンスにおいて発表されたものだった。

  • 「CRAFT(Collaborative Reasoning for Business Intelligence)」は自動でマッシュアップを生成する。ユーザーが従来のクエリ処理の正しい方法を知らなくても、ネットワークデータベース、RSSフィード、インターネットなどから収集した情報に応じて、クエリ処理を自動的にアップデートしていく。CRAFTは、より精度の高い検索を実行するための高度な関連づけをしたり、ユーザーが収集すべき別の情報を提案することもできる。
  • Many Eyes」はデータの共有サイトで、データセットのなかで「Freakonomics」(Steven D. Levitt、Stephen J. Dubner共著。タイトルは造語で「風変わりな経済」といった意味)で論じられているような、隠れた関連性をユーザーが視覚的に確認できる。たとえば、「Second Life」の住民構成を現実世界の国別で示したり、聖書に最も多く登場する人物を網目状に順位付けをしていくといった形で視覚的にとらえられる。1月からパブリックベータ版として提供されているが、IBM Researchでは現在ソーシャルネットワーキングのためのコンポーネントを追加する準備に入っており、今夏には完全版となる予定だ。
  • 「Malibu」は現在IBMの従業員が利用しているもので、メタデータを利用する、Microsoftのソフトウェア「Center for Information Work(CIW)」と同様のものだ。RSSフィード、電子メール、タスク、ソーシャルブックマークを検索し一致させることで、個人や作業グループが、情報の流れを簡単に検索したり管理できるようにする。
  • 「IBM OmniFind Content Discovery Edition」は小売業者に最適化された検索エンジンで、語彙上の分析と文脈の推理を使うことで、検索結果にたどり着く前にしばしば起こる「表記のゆれ」エラーを除外するものだ。自然な言葉のつながり、スペルミスのほか、「100ドル以下」といった文字のパラメータも理解する。このユーザーフレンドリーなバックエンド機能によって、IT担当者でなくとも、特定の品物を増やしたり、関連性を変更したり、新たなターゲットを決定したりといったための「プログラム」ができる。

 「きわめて応用的でユーザー向きの共同研究は、オープンで、顧客やエンドユーザーの近くにあらなければならない。なぜなら、広範に採用されているものは常に、大抵われわれが研究所の中で見ているものすぐ後にあるからだ」(Greif氏)

 Greif氏によれば、社内の研究に割り当てられている資金はあるが、大部分のプロジェクトは、他のグループとの共同プロジェクトとして資金を得ているだけなのだという。

 このため、多くのプロジェクトが「とにかくやってみよう」という形で取り組まれ、それから、これをIBMの製品グループや提携企業に売り込み、以後の開発を進めるための資金を獲得すると、Greif氏は語った。

 オープンなコラボレーションへの回帰は、こうしたプロセスに役立つとともに、IBMの顧客に開発中のソフトウェアを提示する場ともなる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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