KDDIがauの公式検索サービスで着うたや着うたフルを検索した場合に、公式サイトのみを表示し、一般サイトやPCサイトを非表示にしていることがわかった。一般サイトの運営者にとってはサイトへの誘導がなくなるため、不利益を被る恐れがある。
EZwebのトップページに置かれた検索サービスで「着うた」もしくは「着うたフル」というキーワードを検索すると、公式サイトのみが表示される。一般サイトやPCサイトの検索結果については、「KDDIのポリシーにより提供を差し控えております」とだけ書かれている。
なお、アーティスト名や楽曲名などで検索した場合には、公式サイトのほか一般サイトやPCサイトの検索結果も表示される。
KDDIによれば、今回の取り組みは違法な音楽コンテンツの撲滅活動の一環だという。市販の音楽CDなどから、権利者の許諾なく無料で音源を配信するサイトが増えていることから、こういったサイトにアクセスできないようにするのが狙いだ。
ただし、今回の方法では着うたの情報サイトやブログなども表示されなくなる。KDDIでは、「『着うた』や『着うたフル』はソニー・ミュージックエンタテインメントの商標であり、きちんと権利処理をしているサイトでなければ使えない。違法コンテンツの撲滅は非常に重要な問題であり、理解を得られると考えている」と話している。
KDDIは2006年12月、NTTドコモやソフトバンクモバイル、日本レコード協会などの音楽関係権利者6団体とともに、違法な音楽配信サービスを根絶するための取り組みを進めるという発表をしていた。今回の取り組みは音楽関係権利者からの要請にもとづき2月中旬から実施しているという。
なお、ドコモはこの問題について「12月の発表は通信キャリアと音楽関係権利者がひざをつき合わせて議論していくという趣旨であり、具体的な対応については現在検討中」と話している。ドコモの検索エンジンはもともと公式サイトのみを対象としており、一般サイトの検索は第三者の検索サービスを利用している。「大手の検索サービス事業者は違法コンテンツを検索結果に表示しないような取り組みを進めている」(ドコモ)といい、提携企業の取り組みに任せる考えだ。
ソフトバンクモバイルは「当社の端末に対応した着うた、着うたフルの仕様は公式サイトにのみ公開しており、一般サイトの運営事業者では作れない」と話す。違法音楽コンテンツ撲滅への取り組みについては、「音楽関係権利者の取り組みに協力していく」と述べるにとどめており、現時点で具体的な活動はしていないとのことだ。
今回のKDDIの取り組みについて、一般サイト運営者の1人は「無料で着うたコンテンツを提供し、登録されたメールアドレスに出会い系などの広告を配信する事業者もいる。きちんと運営している一般サイトも同一に扱われる点は問題だが、事件が起こってモバイル市場に悪影響が起きる懸念を考えれば、ある程度必要悪ではないか」と寛容な姿勢を示している。
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