Googleでは著作権法が発案者に与える保護範囲を狭く見ており、これが数年の間に出版社、報道機関、写真家をはじめとする多くの敵を作ってきたことは有名だ。
そこに今度は、ビジネスソフトウェアなどの各分野で一段と激しくGoogleと競合するようになったMicrosoftが加わってきた。
Microsoftの法律顧問補佐Thomas Rubin氏は米国時間3月6日、出版関係者を前に講演し、Googleは「組織的に著作権法に違反している」と語った。Rubin氏は、Google Book SearchやYouTubeを名指しで批判し、これらのサービスは「著作権を軽視している」と指摘した。
同氏が講演したのは米国出版者協会(AAP)の年次ミーティング。同協会は、Googleが著作権法で保護された書籍をスキャンし、これを配信することで著作権法に違反したと主張し、2005年10月にGoogleを提訴している。公判は2008年以降に行われる予定だ。
もちろん、著作権で衝突する原因はGoogleのビジネスモデルそのものだ。同社が書籍や映像に対する関心を高めれば高めるほど、そして検索範囲をウェブページ以外にも拡大すればするほど、既存のコンテンツ業界との関係は悪化することになる。さらに、同社のキーワード広告も複数の商標権保有者から反発を受けており、映画に対する著作権侵害で利益を得ているとする訴えが2月にはあった。
現在までのところ、知的財産を巡ってGoogleを敵視する見方はさまざまな業界に広がっているが、技術企業間に目立った連携はない。著作権法の範囲の広狭についての訴えには、シリコンバレーでは称賛よりむしろ嘲笑が集まっている。また、知的財産を巡る裁判はGoogle敗訴より勝訴の判決の方が多い。
Rubin氏の講演は、Googleや著作権法に対する苦情を多く集めることが目的のようだった。Microsoft自身もMSN.com検索エンジンを運営しており、法的柔軟性はウェブコンテンツの取得やインデックス化で追い風となるため、このような批判は新たな重要性を持つ。
Rubin氏は、「Googleが選んだ道の方が、ほかより早く、安くオンライン検索可能な書籍を増やしていくことは間違いない。そして、短期的にはこれがGoogleとそのユーザーのメリットになる。しかし問題なのは、長期的にはどのような犠性を払うことになるかという点だ。Googleは組織的に著作権を侵害し、著者や出版社が自分たちの作品から利益を得るための重要な手段を奪っており、長期的には誤った道を選択した、というのが私の意見だ。このようにすることで、同社は重要な創作意欲を衰滅させている」と語る。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス