スペインバルセロナ発--Warner Music Groupの最高経営責任者(CEO)が、3GSM World Congressで米国時間2月14日、携帯電話業界は音楽サービスの品質向上を迫られており、これに対応しなければAppleなどの新しい競合相手に敗れる恐れがあると警告した。
Edgar Bronfman Jr.氏は当地で行った基調講演で、世界中ですでに多くの音楽携帯が販売されているが、実際に音楽をオンライン購入するのは機器所有者の約8.8%に過ぎないと説明した。同氏によると、携帯電話向けの音楽販売は高価で面倒なうえ、時間がかかるというのがその理由だという。
Bronfman氏は「手頃な価格で簡単に素早く音楽を購入できるようにしなければならない。さもなくば、何十億ドルもの市場をただ指をくわえて見ていることになる」と述べた。
Bronfman氏によると、利用している携帯キャリアにもよるが、着信音の購入にはだいたい20回のキー操作が必要になるという。着信音、フルコーラスの楽曲、音楽ビデオ、アルバム作品がそれぞれ別のバーチャルストアで販売されていることも問題視した。
Bronfman氏は「音楽購入がこれほど面倒であることを考えると、現在音楽市場に費やされている金額は驚くべきものである。購入が楽しく容易なものになったら、どれほど大きな市場ができるか考えてみて欲しい」と述べた。
同氏によると、携帯電話によるエンターテイメントコンテンツの購入を容易にする技術は、すでに存在しているのだという。同氏は、携帯音楽がいかにして消費者の期待に応えるかの例として、Appleを挙げた。
Appleは2007年1月、携帯電話「iPhone」を発表した。iPhoneは、人気の音楽プレイヤー兼ビデオプレイヤーであるiPodに携帯電話の機能を組み合わせたものである。iPhoneはまず、AT&T傘下のCingular Wirelessによるサービスで米国市場に参入する。Appleは米国ではCingular Wirelessと独占契約を結んでいるが、米国外ではどのキャリアと提携するかは発表されていない。2007年6月までiPhoneが店頭に並ぶ予定はないが、それでも、業界では大きな注目を浴びている。
Bronfman氏は「製品がリリースされる前だというのに、Appleは消費者が望む期待値を引き上げている。このことは業界への試練となるが、消費者の興味を音楽携帯に向けることにつながるもので、最終的には業界にとってプラスになると考えている。掘り起こされた需要に対応できるかどうかは、キャリアとメーカー次第だ」と述べた。
同氏は、メーカーやキャリアに携帯電話でのエンターテイメントコンテンツ購入を容易にするよう求める一方で、携帯電話向けの音楽やビデオの保護についてはAppleのCEOであるSteve Jobs氏の意見に反対した。
Jobs氏は2月に入り、レコード企業各社にデジタル著作権管理(DRM)技術を撤廃するよう主張した。Jobs氏はAppleのウェブサイトに投稿した公開書簡で、iPodに保存されている楽曲のうち、iTunes Storeで購入されたものはわずか3%程度に過ぎないにも関わらず、iTunes StoreでDRMシステムを採用しているのは世界の4大レコード会社にiTunes Storeへ参加してもらうためだったと述べている。同氏によると、iPodに保存されている97%の楽曲はコピー防止機能のないCDから取り込まれたもので、複数のコンピュータやMP3プレーヤー間で自由に共有できるという。
Bronfman氏は、何らかの方法でDRMシステムを相互運用できるようにすることは重要だが、著作権を保護し、コンテンツ制作者やコンテンツ販売者が確実に収入を得られるようにすることが重要だと強調した。
Bronfman氏は「携帯電話上のコンテンツであっても、一定レベルの知的財産権は保護されるべきだ」と述べ、「だから、わたしは著作権保護を放棄することには賛成できない。しかし、これはDRM技術に相互運用性を持たせることとは別の話だ。われわれは、ユーザーエクスペリエンスが台無しになるほどの保護をコンテンツに持たせることはできない」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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