米下院、政府の電子的監視権限の拡大につながる法案を可決

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年10月02日 18時35分

 米政府による電子的監視に対する懸念の声が高まる中、米下院は、テロ捜査における米政府の電子的監視権限の拡大につながる法案を可決した。

 米下院は米国時間9月28日、Electronic Surveillance Modernization Actと呼ばれる法案を232対191で可決した。共和党議員は大半が賛成票を投じたが、一方の民主党議員は177人が反対票を投じ、18人が賛成に回った。同法案に対しては、民主党議員だけでなく、複数の共和党議員や人権擁護団体も反対していた。

 Dennis Hastert下院議長(共和党、イリノイ州選出)は、「共和党下院議員は、テロリストらにプライバシーを認めず、また彼らが罪のない米国市民に危害を加えることも許さない」とし、さらに「議会は、われわれがさらなるテロ攻撃を阻止できるよう、われわれの諜報プログラムに、テロリストらの通話や通信を合法的に監視、追跡できる手段を与えた」と語った。

 これに対し、民主党下院議員のリーダーであるNancy Pelosi議員(カリフォルニア州選出)は次のように反論した。「われわれは、大統領がすでに保持していると主張する法的権力を法で正式に定めるのではなく、大統領の国内監視プログラムに対する合憲性審査を行う権利を持ち続けるべきだ・・・われわれのプライバシーをないがしろにする法案を今可決する必要はない」

 ただ、同法案が法定化されるには、上院の承認を得なければならない。ある共和党指導者の補佐官によると、11月7日に行われる中間選挙に向けた選挙運動のために議員らが休暇入りする前に、下院で可決された同法案のコンパニオンビル(同僚法案)の審議が上院で行われる可能性もあるという。

 上院多数党院内総務のBill Frist議員は、満場一致による速やかな承認を得ようとしているようだが、同法案に反対する民主党議員らがそれを阻止する可能性があると、同補佐官は指摘する。

 仮に下院で可決された法案がそのまま法定化されれば、大統領は、国外勢力、あるいはそれらの工作員の通信に限り、裁判所命令なしに最長1年間の電子的監視を許可する権限を持つことになる。また同法案では、司法長官は、監視活動の「重要な目的」が海外の情報資料の収集であることを保証する必要はあるが、そのような監視活動が行われる「施設、場所、建物、所有地」の明示は義務付けられていない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ

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