米政府はDNS管理の民間移行に前向き--商務省発言

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:藤原聡美、中村智恵子、小林理子2006年07月27日 22時55分

 ワシントン発--米国は、インターネットのドメイン名システム(DNS)の支配権を、少なくともある程度はほかに譲ってもいいと考え始めたのかもしれない。米商務省の高官が米国時間7月26日に語った内容は、そういうものだった。

 商務省の次官補代理で情報通信問題を担当するJohn Kneuer氏は2005年、これとは正反対と思える大胆な声明を出し、世界中で大変な物議を醸すきっかけを作った人物だが、一転して、米政府はDNSの管理を「民間に移行する姿勢に変わりはない」と発言した。

 Kneuer次官補代理は、商務省ビルの講堂で開かれた商務省主催の公聴会で、約80名の聴衆に向かって次のように語った。「われわれが今日ここに集まり、このプロセスに着手したという事実は、われわれが民間への移行に本気で取り組んでいることを示す明確なしるしだと考える」

 公聴会開催の背景には、1998年に米国政府とInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)の間で交わされた基本合意書の更新について、商務省が検討している事情がある。ICANNは、ドメイン名やIPアドレスの割り当て調整に責任を負う非営利団体だ。この合意書はDNS管理の基本的ガイドラインを示したもので、2006年9月30日で期限切れを迎えるが、過去の例からもわかるとおり、そのまま更新される可能性もある。

 Kneuer次官補代理は、DNS管理の民間移行に対する政府の関心は、2005年6月に商務省が出した4原則リストと対立するものではないと述べた。この短い政策声明は、インターネットの「根幹」部分、つまり、承認済みトップレベルドメインをリストににまとめたマスターファイルを米政府の管理下に置くと主張していたために、国際社会から強い非難を受けた。声明にはさらに、米政府がICANNに対する監視を継続するという計画も盛り込まれていた。

 Bush政権は、2005年11月にチュニジアで開催された世界情報社会サミット(WSIS)でも、この主張を曲げなかった。Bush政権は、米国が持つネット統治権を放棄せず、代わりに、国連主催のInternet Governance Forum(IGF)を開催することで、国際社会と全体的な合意に至ったとの最終報告を出した。IGFは2006年秋にギリシャで開かれる予定になっている。

 商務省側の原則は、「本質的に特にテクニカルな問題で、技術的見地から見て、安全性や安定性に結びつくもの」に焦点を合わせることを意図したものだと、Kneuer次官補代理は言う。「われわれが従来の支配権をすべて保持し続けると言っているかのように、拡大解釈されるべきではない」

さまざまな意見

 米政府がインターネットのDNSに関する権限を、いつ全面的に民間に移行するのか、あるいは本当に移行するのかについてはなお定かではない。一方、今後どのように進めるべきかをめぐっては、およそ700に及ぶ一般からの意見が米商務省へ届いた。

 この多くが、「米政府の管理下から独立したDNSへの移行を完了させるために全ての利害関係者と協力して進める」ことを米政府に迫る、2段落からなる定型化されたコメントだった。

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