ウェブは、勤務時間中に最もよく利用されるメディアで、家庭でも2番目に利用されるメディアだということが、米オンライン出版社協会 (OPA)の新しい調査でわかった。
ウェブはまた、日中に利用されるメディアの第1位でもある。
インディアナ州立ボール大学メディアデザインセンターが実施した調査プロジェクトで、350名の被験者のメディア利用状況を15秒ごとに追跡した。被験者は男女に偏りがないよう選ばれ、18歳から34歳、35歳から49歳、50歳以上の3つの年齢グループで構成された。これら被験者を、観察者が1日あたり13時間観察し続けた。これは、被験者が起きて活動している時間の80%にあたる。
「観察者は、実際に被験者の自宅や職場まで赴き、ハンドヘルドコンピュータを手に、15秒ごとに被験者のメディア利用状況と生活の諸活動を記録した」と、米出版社協会(OPA)のプレジデントPam Horan氏はCNET.News.comに語った。
Horan氏によると、このような方法で調査が行われたのは初めてのことだという。これまで、一般消費者のメディア利用状況を調べるには、電話による聞き取り調査や日記方式で記録してもらう手法をとっていた。
予想されるとおり、新聞は朝の時間帯に最もよく利用されている。印刷メディアである新聞は、午前8時から11時の間に、17%の被験者が利用していた。新聞とウェブをともに利用した人を対象にすると、広告を目に留めてもらえる可能性のある消費者の割合は44%にまで上昇した。同じ午前の時間帯で、雑誌とウェブをともに利用した消費者の割合は7%から39%に、テレビとウェブをともに利用した人の割合は44%から62%に跳ね上がった。
「要するに、複数のメディアを組み合わせてキャンペーンを実施すれば、広告に目を留めてもらえる確率がそれだけ大きくなるということだ」とHoran氏は言う。
この調査からは、控えめに見てメディア全体の17%がインターネット経由で利用されていることが示されたが、Horan氏によると、Forrester Researchなどの調査機関の見方では、もっと高い割合になっているとのことだ。
OPAの委託で実施されたこの調査では、350人の被験者の消費性向判断するに当たって、国勢調査のデータも利用した。ウェブを中心に利用する消費者が一般消費財に使う金額は平均で2万6450ドル、一方、テレビを中心に利用するグループでは平均2万1401ドルだ。
それなのに、各種調査によれば、インターネット広告は、広告全体のわずか8%でしかないとHoran氏は指摘する。
「マーケティングをもっと臨機応変に対応できる形に変えていっているという担当者が増えていると聞いている。従来の広告主が積極的になって、さまざまなプラットフォーム戦略を試みることができるようになっている」とHoran氏は言う。各種の調査結果が広告主やメディアバイヤーの目に留まることで、消費者の実際のメディア利用形態に合う方向で広告費を使う動きが早まるかもしれないとHoran氏は考えている。
2006年3月にPew Internet and American Life Projectが発表した報告書によると、2005年には1日あたり5000万人以上の米国人が、ウェブを最も重要なニュース源として利用していたことが明らかになった。また、インターネットを利用した活動のうち、ニュースを調べることが3番目だったこともわかっている。同じく3月に発表された全米広告主協会(Association of National Advertisers:ANA)とForrester Researchとの共同による調査報告書でも、今後はこのような人々をターゲットとして広告費が使われるようになるだろうとの指摘をしている。
OPAの調査を実施した研究者たちは、印刷物やテレビなどのオフラインメディアの中でウェブサイトを紹介すると、そのウェブサイトへの訪問者数が間違いなく増加するという事実も見いだした。米Public Broadcasting Service(PBS)が視聴者に対して、あるトピックに関する詳細情報がPBSのサイトで取り上げられていることを伝えると、人々は実際にウェブサイトを訪れるのだ。印刷メディアでも同様で、New York Times紙でそのサイトであるNYTimes.comを紹介するといった場合でも同じ現象が見られた。
CNET NetworksもOPAのメンバーになっている。OPAが開催する2006年の「EYES ON THE INTERNET」は、CBS Digital Media、CNET Networks、New York Times Media Company Reuters.comなどが後援している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス