W3CディレクターTim Berners-Lee氏が、セマンティックウェブの成功に必要な標準規格と技術がすべてそろった、との見解を示した。セマンティックウェブでは、ドキュメントの内容をマシンが人間と同じように難なく読めるようになる。
ウェブを発明したBerners-Lee氏は現地時間5月24日、スコットランドのエディンバラで開催中のWorld Wide Web 2006カンファレンスで講演し、ウェブデベロッパーやコンテンツプロデューサーは、今後はHTMLに加えてセマンティック言語も使い始めるべきだ、と語った。
「The next wave of the Web(ウェブの次の波)」というタイトルのパネルディスカッションで幕を開けた同カンファレンスの2日目は、技術カンファレンスの初日でもあった。サウサンプトン大学コンピュータサイエンス教授のNigel Shadbolt氏は、これまでのウェブで実現されてきたことだけでも驚きだ、とカンファレンス参加者らに語った。
「われわれは、Vannevar Bush氏以外ほとんどが予想していなかった情報インフラを作り出したが、Bush氏でもここまでの規模になるとは絶対に思わなかっただろう。今われわれを取り囲むグローバルインフラが構築可能だなどという話は、50年前には無謀で、おそらくは想像も及ばなかっただろう」(Shadbolt氏)
しかし、ウェブはまだ一連のドキュメントを相互にリンクさせる部分が不備な非構造化データの集まりで、コンピュータがウェブページ上の情報を操作することなど全くできない。セマンティックウェブプロジェクトは、マシンが判読可能なコンテンツをウェブに追加することでこの問題を解決しようとしている。
Berners-Lee氏によると、セマンティックウェブの実現に必要な多数の技術の開発に時間がかかったが、今これらの技術が実用段階に来たという。
「われわれは、5年前のあの有名なレイヤーケーキの図からスタートし、データ言語としてのRDF(Resource Description Framework)の必要性、オントロジ言語の必要性、クエリおよびルール言語の必要性を訴えてきた。われわれは、着実に作業を進めてきた」(Berners-Lee氏)
そして、このレイヤーケーキの最後のレイヤが先ごろ最終承認された。Berners-Lee氏は、「クエリ言語のSPARQLが候補勧告フェーズに入り、インプリメント準備が整った。SPARQLがないとスタックは完全に未完成だった。だが突然、『データ言語だけでクエリ言語のないリレーショナルデータベースを売ろうという、とんでもないことをしていた』ことに気付いた」と説明した。
この最後のステップが一番大きい。これが古いウェブと新しいセマンティックウェブのリンクを実現するためだ。「SPARQLの影響が非常に大きい。SPARQLサーバに既存の膨大なデータを置き、これをセマンティックウェブに発信できるからだ」(Berners-Lee氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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