インターネットサービスプロバイダー(ISP)に顧客のオンライン行動の記録保存を義務付け、将来の犯罪捜査に利用可能にする構想に対する支持が、州議会や連邦政府内で広がりつつある。
Bush政権の幹部らはこの構想を支持しており、また米議会議員からも、警察による児童ポルノ事件の捜査を支援する連邦法が必要だというの声が上がっている。コロラド州議会では、すでにこうした法案を審議中だ。
ISPに対するデータの保持が義務付けられれば、警察は、ユーザーが送受信した電子メールの内容、閲覧したウェブサイトの履歴、チャットルームでの会話内容といった、通常は数カ月後には廃棄される記録の入手が可能になる。そのため、プライバシー擁護派からは懸念の声が上がっている。さらに一部の法案には、ISPに対し、通常は決して保存されることのないデータの保持を義務付ける規定が盛り込まれている。
CNET News.comは2005年6月に、米司法省がISPに対しデータ保持を法的に義務付ける妙案を密かに模索しているというニュースを最初に報じた。しかし、データ保持の義務付けに対する関心が米国内で高まるきっかけとなったのは、同年12月に欧州議会でISPにデータ保持を義務付ける法案が可決されたことだったようだ。
米下院監視調査小委員会の委員長を務めるEd Whitfield下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は先ごろ行われた公聴会の中で、データ保持法は児童を対象とした犯罪に対する警察の捜査に有用、との考えを示した。
Whitfield氏の補佐官は13日に行われたインタビューの中で、「(ISPにデータ保持を義務付ける構想は)実現に向け取り組む価値があると確信している」と述べ、さらに「それらのファイルの保存期間が延長されれば、これらの犯罪の発見や訴追に役立つ」と語った。次回の公聴会は4月27日に予定されている。
一方ISPらはデータ保持の義務付けに対して懐疑的である。その理由として、一般に以下の3つの理由が挙げられている。第1に、人々のオンライン行動の記録へのアクセス権限者が明確でないこと、第2に、データウェアハウスの構築費用を誰が負担するのかが明確でないこと、第3に、現行法が警察の迅速な捜査着手を妨げているのか否かが明確でないこと、の3点だ。
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