ある作家がGoogleを相手に起こした著作権侵害裁判で、このほど連邦裁判事が作家側の訴えを却下し、Googleの勝訴が決まった。この作家は、自分のUsenetへの書き込みをGoogleが長期保管し、検索結果のなかに自分のウェブサイトの一部を表示させていたことが著作権の侵害にあたると主張していた。
この訴訟を起こしたのは、Ray Gordonの名前でも知られるGordon Roy Parkerという人物で、同氏は自分の作品を「Snodgrass Publishing Group」の商号を使って出版している。ペンシルバニア州フィラデルフィア在住のParker氏は、自身の電子書籍のなかの1章をUsenetの掲示板でも公開していた。
Parker氏は、Googleに対して2004年に起こしたこの訴訟で、同社が自分のUsenetへの書き込みを自動的に保管するとともに、ウェブサイトの一部を検索結果として表示しており、それが著作権法に違反していると主張した。
しかし、ペンシルバニア東部連邦地方裁判所は米国時間10日、判例ではGoogleの行為はISPと同じもので著作権の侵害にはあたらない、との判断を示した。
「システムの動作と、ユーザーへのデータ転送を目的にISPが自動的かつ一時的にデータを保管する場合は、違反の判断に必要な要素(故意の侵害意図)が欠けている」(同裁判所)
今回の判決では、ネバダ州連邦裁判所が1月に下した判決が引き合いに出されている。この判決では、Googleがキャッシュに保管し、検索結果として提供するウェブページは著作権を侵害しないとされていた。
今回の判決に先立ち、ロサンゼルス連邦裁判所判事は先月、グラビアサイトの「Perfect 10」などにある画像のサムネールバージョンを表示させるGoogleの画像検索機能は、その一部が米国の著作権法に違反する可能性があるとの判断を下していた。
Googleは、論争を呼ぶ「Library Project」書籍デジタル化計画を巡って、作家や出版社の団体が昨年提起した著作権関連訴訟にも巻き込まれている。ほかにも、Agence France Pressが訴訟を起こしており、World Association of Newspapersも、見出し記事や写真を、許可を受けることも補償を行うこともなく集約する行為を巡って提訴をにおわせている。
Googleは今週はじめにも訴訟関連で打撃を受けており、サンノゼの連邦裁判所判事は、Googleがインデックス化しているウェブサイトの提出を同社に求める連邦検察官に対し、少なくとも一部を認める発言をしていた。Googleは、無作為に抽出したインターネットのアドレスと検索用語の提出を求めて司法省が送付した召喚状に異議を申し立てている。司法省は、アダルト関連素材を公開するウェブサイトに未成年者がアクセスした場合に、そのサイトを取り締まるための対策を巡り、裁判の弁論にこれが必要だとしている。
裁判所によると、Parker氏は今回の訴訟のなかで、Usenetユーザーが書き込んだ中傷と思われるメッセージまで保管しているGoogleの行為は名誉毀損であり、Googleは「不正な略歴」を作成してプライバシーを侵害しているとも主張しているという。しかし、同裁判所によると、Googleが保管している、もしくはアクセスを提供しているのが第三者の作成したコンテンツであるため、同社には責任はないという。
今回の訴訟では、脅迫、過失、手続きの濫用、民事謀議など、合わせて11件の訴えが出されているが、その大半は主張の申し立てに不備があるとして却下された。そのほかの主張も、特定の法規に照らせばGoogleは無罪だと判断され、却下された。
判決は、「姓名不詳の5万人」を被告とした「散慢」かつ「非現実的」なこの訴訟に対する不満も訴えた。元法律家補助員であるParkerは、自分で訴状を用意し、弁護士は依頼していないという。
Parker氏はこの判決に関して控訴を考えている。「法廷はキャッシュの意味するものをわかっていない。Googleは本当は第三者による再出版をしている」と同氏は電話インタビューのなかで語った。
「Googleは私のつくったコンテンツを奪い、それをつかって検索エンジンを強化し、私の競合相手が出した広告にトラフィックを集めている」(同氏)
「今回の判決のほかにも、Googleのサービスが著作権法の原則に則っているとする判決が最近いくつか出されている。実際、Surrick判事は『Field v. Google』訴訟におけるJones判事の判決の一部を利用している」と、Googleの法律顧問を務めるMichael Kwun氏は電子メールのなかで述べている。「われわれはこの判決にとても満足している」(同氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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