カリフォルニア州カールズバード発--Compaqの創業者Rod Canion氏がどこにいるか考えたことはあるだろうか。同氏は今、近所の高校に大学レベルの図書館をもたらそうとするQuestia Mediaで仕事をしている。
ヒューストンを拠点とするQuestiaは、学者やJohn Wiley and Sonsなどの教科書出版社を集め、その出版物をウェブ上に掲載している。個人の場合、月額20ドルまたは年額100ドルの購読料を支払うことで、専門家が査読した論文や教科書などの学術出版物にオンライン上でフルにアクセスできる。同社の最高経営責任者(CEO)のTroy Williams氏によると、高校では、個人向け購読料の85%程度を支払うことでデータベースにアクセスできるという。
現在のところ、Questia購読者は約15万で、同社ウェブサイトからアクセス可能な図書の数は6万5000冊だとWilliams氏は述べる。
Canion氏はQuestiaの出資者であるとともに会長も務めている。同氏とWilliams氏は当地で3日間にわたって開催されるカンファレンス「PC Forum」に参加している。
Questiaは、インターネットが急成長した1990年代における電子出版の失敗を繰り返さないための努力を続けている。当時は各社とも、インターネットを通して小説などのペーパーレス本が販売され、それを人々が携帯電子ブックで読むという姿を夢見ていた。Questiaも当時は困難に遭遇し、レイオフも経験したが、当時から現在と同じ方針を持っていたために生き延びることができた。
Williams氏によると、電子出版の夢が叶わなかったのは、ペーパーバックがあるのに、重たくて高額のハードウェア上で小説を読みたいという人がほとんどいなかったことが一因であるという。Questiaがほかと違っていたのは、娯楽用の本ではなく、研究目的で参照が必要とされるような、通常は探すのが困難な研究雑誌に焦点をあてたという点である。人々はこの種の情報については、デスクトップやノートブックで読むこともさほど構わないと同氏は述べる。
Questiaを通して入手可能な資料の多くは著作権処理が施されており、著作権者の許可を得て発行されている。それでもなお、同社は出版社との間で、多様な不測の事態について交渉する必要がある。Williams氏によると、高校の全生徒がアクセスできるように、学校の図書館に割引価格で購読を提供することは簡単であるという。これは、学術出版社が希望することは概して、学生が研究に関心を持つことであり、学生も、Questiaが提供する出版物のほとんどをどのみち購読(または教科書を購入)しないためだ。望みは、学校の図書館でこのサービスを使っていた高校生が、将来は個人購読者となることにあるとWilliams氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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