「.ukドメイン」のレジストリであるNominetによると、かつて10代でドットコム長者の仲間入りを果たしたBen Cohenが、「iTunes.co.uk」ドメインを取り戻すための争いを断念したという。
Nominet担当の事務弁護士Edward Phillipsは現地時間21日、Cohenの会社であるCyberBritain Groupが、以前に所有していた同ドメインをAppleから取り戻すための全活動を正式に停止したことを明らかにした。
このドメインをめぐる争いは、ドメイン名紛争に巻き込まれている人たちにとって、紛争処理サービスに関する基礎的な教訓を含むことになった。
Cohenは8月に、司法審査を要求する機会を失った。これは、Nominetの紛争処理サービスに含まれる上告という手段をCyberBritainが利用できると判断し、裁判所が提訴を却下したためである。
Nominetによると、CyberBritain Groupはその後さらなる審問の機会を求めていたが、今回その要求を取り下げ、同社の訴えを完全に終結することにしたという。また、Nominetでは、CyberBritain Groupが今後いかなる訴えも起こさない予定であることも確認しているという。
「われわれが常に言っているのは、異議もあるだろうが、この手順を踏まない限り、法廷へ持ち込むことはできないということだ」とPhillipsは述べている。「いずれにしても、今回の件について司法審査というのは間違っている。司法審査は政府決定について異議を申し立てるためのものだ。われわれは政府機関ではない」(Phillips)
また、Phillipsは、Cohenの訴えには多くの矛盾があったとも付け加えた。「Nominetの紛争処理サービスは、非常に使いやすく、かつ分かりやすく、そして公正につくられている。上告という手段も含んでいるが、Cohenはそれを利用しなかった。同氏は、この手順を踏むには費用がかかりすぎると発言する一方で、英国高等法院へも提訴している。高等法院は、決して費用が安いという訳ではない。同氏は、Nominetでの処理に費用をまったく支払っていない」(Phillips)
Appleは、iTunesの商標を保持していることを理由に、iTunes.co.ukというドメイン名の所有権を譲渡されるべきだと主張していた。これを受け、Nominetは2005年3月にAppleの主張を認めた。
Cohenは2004年12月、ZDNet UKの姉妹サイトのsilicon.comに対して、iTunes.co.ukを単に音楽に関連した複数のドメイン名のひとつとして2000年に登録したと述べていた。また、同氏はAppleがiTunes.co.ukを登録商標化することを、当時はまったく知らなかったとも述べていた。
しかし、Nominetの紛争処理サービスを統括する審査員であり、電子通信方針のコンサルタントを務めるClaire Milneは、Cohenの登録を「濫用登録(abusive registration)」と判断し、このドメイン名をAppleに与えた。
Nominetの紛争処理方針では、濫用登録について、企業の権利を悪用するドメイン名と定義されている。今回の件で、Appleは、iTunesを商標登録しているという事実を主張していた。また、Appleは、同ドメインの買い取りについて、同社が5000ドルの金額を提示した2日後、CyberBritain側が5万ドル(2万9000ポンド)を要求していたことも述べた。さらに、CyberBritainは、同ドメイン名のリダイレクト先として、同社の競合サービスであるNapsterを設定していたことも付け加えた。
これに対して、Cohenは、紛争処理サービスを統括する専門家から、AppleのMacユーザーを外すように主張していた。同氏は、この理由について「被告の立場からすると、原告の製品には狂信的なものがあり、それが熱狂的なユーザーを引き付けている」ことを挙げていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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