米国時間21日に、米連邦議会のメンバーらが、2001年9月に起こった同時多発テロの首謀者を攻撃の発生前に突き止めていたとされるデータマイニング活動に関し、明確な回答や事情を熟知する証人を出してこなかったとして、国防省を痛烈に批判した。
「Able Danger」と呼ばれるこのプロジェクトは米陸軍が1999年に発足させたもので、主として一般に公開されている情報をあるコンピュータプログラムのなかで編纂した後、身元の判明しているテロリストとつながりのある人間のネットワークを描いたマップを作成する作業を行っていた。しかし、2000年12月から2001年3月の間のある時点で、このプロジェクトははっきりしない理由から解散となり、最大で2.5テラバイトにのぼるデータを記録した電子ファイルや紙の書類が、陸軍の命令によって処分された。
上院法務委員会の議長を務めるArlen Specter議員(ペンシルベニア州選出、共和党)は21日に、この処分されたデータのなかに、9/11テロの首謀者であるMohammed Attaの写真があったかどうかという点や、さらにはそのデータが関連する各法執行機関と共有されずに処分されてしまった理由について尋ねるための聴聞会を招集した。
だが、土壇場になって、国防省が機密情報に関する懸念を理由に、5人の主要な証人がこの聴聞会で証言することを禁じるという驚くべき決断を下したため、議員らは多いに困惑することになったと、Specterは述べた。
それでも、証人のなかにはこの聴聞会の傍聴席に姿を現した者もいたことから、Specterが途中で彼らに証言台に立つよう求める場面さえ見られた。しかし結局、同委員会の議員らは、これらの証人に代わって答弁することを認められた人間に質問することしか許されなかった。質問を受けた人間のなかには、Able Dangerに深く関与した2人の男性の代理人を務める弁護士のMark Zaidや、Curt Weldon下院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)などがいた。
Weldonは3カ月ほど前に、Able Dangerに関する疑惑を初めて明るみに出した人物で、これまで長い間、国防省、CIA、FBIの3者に対してより一層の情報共有を行うよう求めてきていた。6月に下院で行った演説のなかで、同氏はAble Dangerをめぐる疑惑が9/11委員会による調査報告書公表後に明るみに出たことに対して失望感を表明していた。
Weldonは、明らかに不満の色が混じった声で、陸軍のデータマイニングに関する戦術の有効性を賞賛した。データマイニングはその後CIAやFBIでも行われるようになっている。同氏は、コソボ紛争の解決を目指す交渉に関わったあるセルビア人について自分が情報を集めていた際に、CIAよりもたくさんの情報を陸軍から得られたという話をしてみせた。
それに対し、代理人のZaidは、同氏の後ろに座った依頼人らが(軍から証言を禁じられていなければ)Able Dangerで行った広範なデータマイニングの過程で、首謀者のAttaをはじめとする同時多発テロの実行犯4人の身元を突き止めていたことを証言していただろうと述べた。これらの情報はすべてが、Lexis-NexisやWestlawなどの契約業者から得たり、インターネット上から集めたもので、政府のデータベースや機密情報から入手したものはないと同氏は述べた。同氏によると、依頼人らはこれらの人物に関するチャートやデータをFBIと共有すべく、何度かミーティングを設定しようと試みたが、結局すべてがキャンセルされてしまったという。
元陸軍少佐で現在はLockheed Martinに勤務するErik Kleinsmithは、2000年に陸軍のある弁護士からAble Dangerで利用されたあらゆるデータを処分するよう命じられたと語った。その理由について、同氏は、陸軍の規則で米国民についてのデータを90日以上にわたって保持することが禁じられている--ただし、テロリズム対策の捜査に関連する13のカテゴリのどれかに該当すると判断された場合には、その限りではない--との説明を受けたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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