日本音楽事業者協会とヤフーは6月14日、肖像権侵害撲滅のための共同キャンペーンを開始すると発表した。ヤフーが運営する「Yahoo!オークション」内にて、アーティストの肖像権を侵害した出品が一部存在し、同協会に加盟する権利者の権利を保護する対策が必要となっているためだ。
両社は共同で対策を協議し、Yahoo!オークション内で肖像権を侵害する物品の出品状況を調査、詳細な削除基準とその対応方法を取り決め、発見・削除の連絡体制をより強化するとしている。これにより、悪質な肖像権侵害出品をサイトから迅速に削除し、違法販売を未然に防止する対策を展開する。
Yahoo!オークションは、2004年5月現在の月間ページビュー数が62億7800万で、平均総出品数が633万件。タレントグッズは毎月約5万件の出品があるという。そのなかで、イベントやコンサート会場などで無断撮影されたものや、配布許可のない写真が出品されるといった肖像権の侵害にあたるケースが存在し、そのための対策がオークションの運営にあたって課題ともなっていた。
ヤフー法務部長の別所直哉氏 |
こういった課題に対する取り組みとして、ヤフーでは2001年5月に出品者と落札者の本人確認を開始し、同8月には前年設置された社内パトロールチームの24時間体制を実施、2002年5月よりシステム利用料の徴収を開始するなど、対策強化に努めてきた。ヤフー法務部長の別所直哉氏によると、対策を強化するごとに肖像権を侵害するような出品は減少したというが、「それでも完全な問題解決には至らなかった。昨年11月には知的財産保護プログラムを開始し、そのころに音楽事業者協会との協力体制についても検討を開始した」と、今回の経緯について説明する。
日本音楽事業者協会 マスコミ委員会 担当常任理事の尾木徹氏は、肖像権侵害について一般的に認識度が低いことを指摘する。「1980年代は、マスコミ各社でも肖像権に対する意識が低く、無断でタレントの画像を誌面で使用するといったことが見受けられた。そのため雑誌社などと協定を結び、画像使用の際に許諾を必要とするという旨で合意に達し、マスコミでの肖像権に対する意識は高まった」と尾木氏。だが同協会では、インターネットの発展で一般人が肖像権を侵害することになるのではないかと予測していたという。「残念ながらその時代が到来してしまった」と尾木氏は述べ、今回のヤフーとの提携で啓蒙活動を促進し、「最終的には肖像権を立法化するようにしたい」と語った。
ヤフーでは、2004年1月よりコンピュータソフトウェア著作権協会とも同様の協力体制を敷き、違反出品の削除基準の策定や、違反出品の発見・削除の連絡体制を強化すると発表している。これにより、「常時1000件程度存在した問題のある出品そのものが減少し、出品されても即座に削除されるようになった」(別所氏)という。同協会との取り組みに成果があったことで、「今回の肖像権侵害問題についても同様の効果を期待している」と別所氏は述べた。
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