カリフォルニア州の控訴裁判所は27日(米国時間)、DVDクラッキングツール「DeCSS」のネット上での公開を禁じた4年前の裁判所命令が被告に認められた言論の自由を侵害しているとして、この命令を撤回した。
この裁判は、オンラインで広く出回ってしまった企業秘密の保護をカリフォルニア州がどこまで認めるかを試すものとして注目を集めていた。
原告のDVD Copy Control Association(DVD CCA)は、プログラマのAndrew Bunnerが、映画会社のDVD暗号化スキームを迂回することに利用できる「DeCSS」というコードをネットに掲載した行為について、DVD CCAの知的所有権を侵害していると主張していた。Bunnerの弁護人は、同氏がコードをウェブで公開する以前に、このコードはもはや企業秘密ではなかったと反論した。
カリフォルニア州第6巡回控訴裁判所は27日、Bunner側の主張を認め、1999年の最初の予審判決による裁判所命令を撤回した。
ノルウェーのプログラマJon JohansenがインターネットでDeCSSを公開して以来、映画業界の各社はDeCSSを攻撃する訴訟を繰り広げてきたが、米国内では今回の判決によりその最後の訴訟が幕を閉じることとなった。Johansenに対する刑事訴訟は、昨年末ノルウェーで棄却されている。
DeCSSをオンラインで公開することは、連邦控訴裁で違法とみなされており、今回の判決によってカリフォルニア州で合法とされるわけではない。しかし、DVD複製を妨害し、未許可の機器でのDVD再生を妨げる暗号化技術に関して、映画業界と対決してきた米国での言論の自由擁護者らにとって、今回の判決が稀に見る勝利となったことは間違いない。
先週カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所は、DVDコピーソフトウェアメーカーの321 Studioに対し、製品を店舗から回収するよう命じる裁判所命令を下し、映画業界は重要な勝利を収めた。2年前にはニューヨーク州の連邦控訴裁判所が、DeCSSが米国の著作権法に違反していると判断し、オンラインハッカーマガジン「2600」に対して、ウェブサイトからコードにリンクすることを禁じる一審の裁判所命令を支持している。
こうした訴訟では、コピー防止スキームの迂回や、迂回ツールへのトラフィックを違法とする連邦法、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)が適用された。
これと対照的に、Bunnerの裁判ではカリフォルニア州の企業秘密法が適用された。この法律では、企業秘密違反となる行為と、プロプライエタリな情報が公開された場合に企業が秘密保護を主張するために取るべき手順が、具体的に議論されている。
Bunnerの弁護人である、Hopkins & Carley法律事務所のAllon Levyは、この判決について、 プロプライエタリな製品を研究するために合法的な方法を利用するソフトウェアプログラマを保護する重要な判例となったと述べている。Levyによると、プログラマらは「リバースエンジニアリング」として知られる広く受け入れられたテクニックを利用して、DeCSSをつくり出すのに使った情報を得たという。仮にDVD CCAの主張が認められていたら、プログラマらは合法的につくられた製品に対する企業秘密の主張をめぐる新たな問題に直面していただろうと、同氏は述べている。
一方、DVD CCA側は、DeCSSをオンラインで公開することは連邦法およびカリフォルニア州法のもとで違法行為となると長らく主張してきている。しかし、同グループは今年初めにこの件に関する訴訟を取り下げて、関係者を驚かせていた。
「DVD CCAは、本日カリフォルニア州控訴裁が下した判決に落胆しており、またこれを受け入れることはできない。我々はこの判決全体を見直し、この件で次にどのような動きに出るべきかを検討している」と、同グループは発表した声明のなかで述べている。この記事は海外CNET Networks発の ニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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