コンピュータセキュリティ分野の4人の専門家が、インターネットを利用した投票システムで不正行為防ぐことは不可能だと述べ、推進派に警告を発した。
コンピュータ科学を教える3人の教授と元IBM研究者の4人の専門家は米国時間21日、現行のインターネットシステムの下で、それぞれの有権者が1回だけ投票することと、投票者の身元の両方を保証できるような電子投票制度を構築することは不可能だと発表した。
「インターネットを使った投票システムは、不正投票と投票者のプライバシーに関して、避けがたいリスクを生み出す。これらの問題は避けようがなく、また解決不可能だ」と、カリフォルニア大学バークレー校でコンピュータ科学を教えるDavid Wagner助教授は述べている。
この報告書は、米国防総省が「安全な電子登録および投票実験」(Secure Electronic Registration and Voting Experiment:SERVE)の開始準備を進めるなかで、発表されたもの。この電子投票システムは、7州の50郡で米軍の不在者投票を可能にするもので、2月3日のサウスカロライナ州の大統領予備選挙で初めて採用されることになっている。最終的に、同プログラムは国外にいる600万人の軍関係者や民間人の不在者投票を処理するところまで拡大される予定だ。
セキュリティ専門家によれば、初期の選挙では、有権者の人数が限られているので、オンライン攻撃を逃れることができるかもしれないという。しかし、初期段階でこのシステムが成功し、その後広く採用が進むと、選挙全体が攻撃を受ける可能性が生まれると、同報告書は述べている。
「安全でないネットワークに接続された、安全でない家庭用コンピュータを通して投票することは、不確かな選挙につながる」と、Wagnerは警告している。
米国防省の一部門である「連邦投票支援援助プログラム」(FVAP)の要請を受け、10人のセキュリティ専門家が、計画されたシステムの分析を行ったが、Wagnerを含めた4人の報告書の著者は、この分析メンバーに入っていた。FVAP広報担当者のGlenn Floodによれば、残りの6人のメンバーは、同システムがうまく稼動すると考えているという。
「セキュリティは、当初から我々がもっとも気にかけていた事柄で、いま初めて気づいた問題ではない」と同氏は述べ、また国防省と契約業者は、専門家のアドバイスも考慮すると付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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