米議会内に提出され、話題となっていたネットの中立性に関する法案が米国時間3月27日に発表された。同法案にはインターネットサイトによって異なる扱いをすることを禁じる規定は盛り込まれず、ややブロードバンドプロバイダーよりの内容となっている。
通信関連の法案作成を担当する下院エネルギー・商業委員会の委員長を務めるJoe Barton下院議員(テキサス州選出、共和党)は、米国時間3月27日に同法案を発表し、30日の午前10時(東部標準時間)に公聴会を開催すると述べた。
「この法案により、米国の労働者のチャンスが大幅に拡大し、米国の消費者は、つい2、3年前には想像もつかなかったようなビデオサービスが利用可能になる」とBarton氏は語った。
Barton氏が2005年11月に作成した草案(PDFファイル)には、ブロードバンドサービスプロバイダーは、インターネットアクセスを遮断したり、あるいは、不当にアクセス効率を損わせたり妨害したりしてはならない、と明記されていた。ところが、今回発表された最終版(PDFファイル)では、米連邦通信委員会(FCC)にルール策定権限や違反行為を公開する権限を与えるに留まっている。
「ネットワークの中立性」の下では、ブロードバンドパイプを所有する企業は、特定の企業や個人を特別扱いするような方法でネットワークを構築できない。例えば、ブロードバンドパイプ所有企業が、自社サービスを他社のサービスよりも高速で送信したり、ネット上でコンテンツやアプリケーションを提供する企業に同様の高速配信を提供する際に料金を課すなどの行為は許されない。
これまで、Google、Microsoft、Yahoo、eBay、Amazon.com、Skypeのハイテク企業各社および一部の権利擁護団体が、ネットの中立性を要求する厳格な法律を制定するよう議会に圧力をかけてきた。またそれらの企業や団体は、Communications Opportunity, Promotion and Enhancement Actと呼ばれるBartonの法案で、ネットの中立性の遵守が義務付けられることを希望していた。
オンラインオークション大手eBayの通信担当ディレクターHani Durzy氏は27日に送信した電子メールの中で、「インターネットユーザーや小規模事業者が、現在あるいは将来利用したいと考える全てのコンテンツ、アプリケーション、サービスに今後も引き続き自由にアクセスできるように、議会は彼らに代わって立ち上がるべきだ。これがeBayの考えだ」と述べた上で、「今日発表された法案のネットの中立性に関する規定は・・・その目的から大きくかけ離れている」と語った。
3月初めにネットの中立性を義務付ける法案を提出したRon Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)は27日、Bartonの法案を批判した。「この法案は、多重化され、あちこちに料金所がある情報スーパーハイウェイの建設開始につながるものだ。それでは、これまでインターネットがうまく機能してきた要因である『誰もがアクセスできる』というインターネットの特質に反する」とWyden氏は語った。さらに、デジタル権の監視機関であるPublic Knowledgeは、Bartonの法案には「不正行為を思い止まらせるだけの重い罰則規定」が盛り込まれていないと指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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