LISMOは「定額制を使い続けてもらうためのサービス」
LISMOはうたともの一部サービス以外は無料で利用できる。KDDIが狙うのは、楽曲の販売の増加と、通信データの増加によるARPU(ユーザー1人あたりの月間平均利用額)の向上だ。端末のデータをPCに保存できるため、ユーザーは端末のメモリ容量が一杯になったらPCにデータを移行し、容量を空けることができる。これによって、再び新しい着うたフルなどのコンテンツを購入し、ダウンロードするようになるというのだ。
さらにプレイリストの交換やうたともの推薦機能を通じて、ユーザーが新しい楽曲に出会う機会を増やし、楽曲の販売へとつなげる狙いもある。現在はうたともでは着うたフルしか購入することはできないが、将来的にはCDやDVDの販売もしていきたいという。
また、コミュニティのように継続利用を促すサービスを提供することで、データARPUを高める狙いもある。KDDIは他社に先駆けてパケット定額サービス「ダブル定額」を導入したが、すべてのユーザーがパケット定額制に入っているわけではない。また、ダブル定額は定額制といっても月額4410円を上限とした従量課金モデルになっているため、上限額まで利用するユーザーは一部に限られる。上月氏は、「音楽というリッチコンテンツを提供することで、パケット定額制を使い続けてもらい、データARPUをあげる狙いもある」と話す。
iPodと異なり音楽の「ライトユーザー」を狙う
携帯電話端末、専用のPC用ソフト、独自の著作権管理(DRM)技術、そして音楽配信サービスの展開というパッケージは、iPodとiTunes、iTunes Music Storeの連携で大成功したApple Computerの手法と同じだ。現にLISMOの発表会において、KDDI執行役員コンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏はAppleの手法を意識したと認めている。
しかし、iPodをはじめとした携帯音楽プレイヤーとは、競合するというよりも棲み分けていくという考えだという。「ビジネスモデルという点では同じだが、われわれはもっとライトユーザーを狙っている。iPodの場合、CDをたくさん持っていたり、買うお金がある社会人を中心とした音楽のコアユーザーが中心だが、われわれはちょっと気になったときに楽曲を1曲ダウンロードするというようなライトユーザーが中心だ。携帯電話で音楽を聞く人の多くは携帯音楽プレイヤーも使っているという調査もある」(八木氏)
もっとも、携帯音楽プレイヤーへの対抗心がないわけではないようだ。「携帯電話端末の出荷量は数年で1000万台規模になるので、この点で携帯電話には強みがある。また、楽曲を再生しながら通信できるというのも優位だ」(八木氏)
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