L・レッシグ、3Dバーチャルワールド「Second Life」を訪問

文:Daniel Terdiman(CNET News.com)
翻訳校正:河部恭紀(編集部)
2006年01月20日 15時25分

 サンフランシスコ発--スタンフォード大学ロースクール教授であり、数々の有名な著書もあるLawrence Lessigは多くの人々を前に話をするのに慣れている。しかし、米国時間18日の夜、Lessigは全く新しいタイプの聴衆を前にしていた。

 Lessigはバーチャルワールドの「Second Life」の中にいたのだ。自著「Free Culture」を宣伝し、政府の著作権の扱い方について彼がおかしいと考えることについて話をするためだ。

 自分そっくりのアバター(実在する人物のネット上の姿)となったLessigは、法律や社会、そして技術に関する複雑な問題を、3Dデジタルの世界で質問を読んだり回答を打ち込んだりすることで話し合った。そこでは、現実の世界では得られないような自由があったとLessigは言う。

 「その場に慣れるまで、少し時間がかかった」とLessigはCNET News.comに語った。「しかし、後は自分の姿を気にする必要がなく、考えだけに集中できた。まさに純粋なコミュニケーションだ」(Lessig)

 Second Lifeは、サンフランシスコのLinden Labが始めた制約の無いバーチャルワールドである。Second Lifeを訪問した有名な作家や思想家は、Lessigだけではない。これまでにも、SF作家のCory Doctorowや国家安全保障戦略研究家のThomas Barnettなどがこのバーチャルワールドを訪れている。

 Second Lifeが、City of Heroes、World of Warcraft、EverQuestといったライバルサイトと違うのは、特定の目的を持ったゲームを中心に展開していない点だ。

 その代わり、Second Lifeでは、そのほとんどがユーザーによって作られた世界の中で、想像できることほぼすべてを行いながら、メンバーは生活している。時には、Lessigのような専門家を招き、著書や考えについて話し合ったりすることさえある。

 18日の夜、Lessigと100人近いSecond Lifeメンバーが、このバーチャルワールド内の「Pooley」と呼ばれる一角にあるデジタル円形劇場に集合した。集まったのは普通の読書愛好家たちではない。テレビ番組の登場人物、白猫、ライオンなど奇抜で風変わりな姿のアバターたちだ。

 そして、多くの聴衆には、同イベントのために作られた『Free Culture』の「デジタル本」が手渡されていた。このデジタル本には、オリジナル版の全内容が含まれていた。Lessigはイベント後、この本に「サイン」をするためにその場に残った。サインというのは、Lessigのアバターが本に触りデジタル署名を与えるというプロセスのことだ。

 この訪問者シリーズという企画を考案したのは、Linden Labのために「New World Notes」というSecond Lifeオフィシャルブログを書いているWagner James Auという人物だ。

 同シリーズ企画者として、AuはLessigのような人物を招待しSecond Lifeの世界に触れてもらう機会を持てることを感謝している。

 「まさに文字通り世界中の人々が集まってくる」とAuは言う。「そして、その国際性から、そこにはさまざまな意見が見られる」(Au)

 Lessigが著者やコンテンツ所有者の著作権保護を数十年間も認めるのは政府の行き過ぎだという考えを述べるなど、議論は非常に活発だった。それとは対照的だったのがLinden Labのオフィスだった。そこではAuとLessigがコンピュータの前で質問や答えを打ち込んでいたが、室内には彼らがキーボードをたたく音だけが響いていた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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