12月1日、インターネットオークション事業者および著作権権利者、権利者団体らが共同で「インターネット知的財産品流通防止協議会」を発足すると発表した。
インターネットオークションを通じ、アプリケーション、映像をCD-Rなどにコピーしたいわゆる海賊版や、ブランド製品、家電製品、オートバイの模造品などの知的財産侵害品が出品されていることが問題となっている。
この問題に対し、個々の事業者や権利者、権利団体による自主的な防止策などは現在でも行われている。これまで、事業者らが行っている主な取り組みは、メール認証や、銀行口座・クレジットカード認証、配達記録郵便による郵送住所確認の実施など、出品者に対する本人確認、自主パトロールによる削除措置、利用者からの連絡による削除・利用停止措置などがある。さらに、悪質な利用者に対しては捜査機関への通報や、刑事告訴などをすることで一定の成果は挙げている。しかし、悪意ある出品者は減っておらず、逆に手口が巧妙化するなど、問題の根絶にまで至っていないのが現状だ。
この問題を解決すべく、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)とヤフーが幹事となり、13の権利者、権利者団体、インターネットオークション事業者らが共同でこれらの問題について協議する場「インターネット知的財産品流通防止協議会」を発足した。
インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会の幹事を務めるACCSの葛山博志氏 |
協議会では「権利者(団体)とオークション事業者が共通した認識を持つため、情報を共有する」「両者が連携して取り得る対策について検討し、その実施を行う」「法整備などが必要とされる事項に関しては、関係機関に対して制度提言などを共同して行い、両者が連携してその実現に努力する」の3つの課題が検討される。これらの問題への取り組みを関係団体すべてが一堂に会して協議することは初の試みとなる。
具体的な方法としては、知的財産侵害品をオークションに出している出品者に対し、出品者情報を開示させたり、出品停止活動を強化したりするという案が出ている。同時に、防止策として共同で啓もう活動を強化するような体制をとることも目標として掲げられている。これらを実施する際の方法や強化策などは、協議が始まったばかりということで明確な回答は得られなかったが、一見通常の出品物に見えるが実は模倣品であったというような、グレーゾーンのオークションに対しても何らかの対処をするとしている。
一方で、知的財産侵害品の対応策の強化がエスカレートすれば、オークション事業者によるインターネット上での個人情報の開示につながる恐れもあり、ともすれば通常利用している誠意ある出品者が減ってしまうのではないか?という質問に対しては「その問題は難易度の高い最重要課題として慎重に対応したい」としていた。
なお、この協議会は民間の組織として活動を開始するが、法改正に向けた提言も視野にいれているため、関係省庁がオブザーバーとして参加することが決定している。また、現在13の関連団体や業者となっているが、今後の協議に参加する業者や団体が増えることも想定されている。
インターネット知的財産侵害品流通防止協議会の協議は本日より開始され、2006年3月末までに意見を集約することを目指しているという。設立メンバーは以下の通りとなっている。
●権利者・権利者団体
●インターネットオークション事業者
●オブザーバー
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