携帯電話向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を展開するシリウステクノロジーズは、ユーザーの居場所に応じた広告を携帯電話に表示するサービス「シリウスアドローカル(Cirius AdLocal)」を12月1日より開始する。ユーザーが送信する位置情報を利用したサイトで表示を開始するが、将来的には位置情報を使わないサイトでもユーザー居場所に合わせた広告の表示が可能になるという。
シリウスは代表取締役社長の宮澤弦氏が東京大学在学中の2004年に設立した企業で、携帯電話の位置情報を元に自分の居場所を友人に教えられる機能を持つ携帯電話向けSNS「アクティボ」などを運営している。アクティボの会員数は「ライセンス販売したものを合わせて数万件」(宮澤氏)という。
シリウスアドローカルの表示イメージ。アクティボのサイト上で表示される
|
シリウスアドローカルはユーザーが送信した位置情報やその履歴を元に、居場所に応じた広告を表示する(写真)。このため、銀座にいるユーザーだけに銀座の飲食店の情報を表示できるなど、高い広告効果が見込める。
広告はテキストのみで、アクティボのサイト上で表示される。また、アクティボのシステムを利用した同社のパートナーサイトにも表示される。iモード、EZweb、Vodafone live!の3キャリアに対応する。すでにサイバーエージェントグループが広告代理店として営業活動を開始しているという。
「フランチャイズ企業などで実店舗を持つところが主な広告主となるだろう。人がその場所に来ることでビジネスが成り立つ企業のニーズが高い」と宮澤氏は話す。
広告はシリウスの広告サーバから表示される。この広告サーバではシリウスが開発した自動学習機能を持つニューラルネットワーク型の演算処理が行われており、クリック率をもとに広告効果のある配信範囲を算出する。また、広告主も距離別にクリック単価を決められるため、効果のある地域にだけ広告を表示することが可能となる。
広告の表示順序はシリウスが独自に開発したAdLocal Rankに基づいて決定される。このAdLocal Rankは広告主の設定したクリック単価と想定クリックレートによって決まるが、店舗からユーザーの居場所までの距離に応じてAdLocal Rankが変わる点が特徴だ。距離が近いほどAdLocal Rankは高くなる。なお、1つのページには1つの広告しか表示されず、AdLocal Rankの最も高い広告がアクティボのトップページに表示されるようになっている。
シリウスではシリウスアドローカルとアクティボのライセンスをパッケージにして、携帯電話向けSNSを始めたい企業に売り込んでいく。「携帯電話向けの広告はPC向けよりもクリック単価が高く、SNSの会員が1万人いればシリウスアドローカルを導入することで十分成り立つ」と宮澤氏は自信を見せる。シリウスはアクティボのライセンスを10月から提供しており、価格は300万円からとなっている。
今後は、天気情報サイトや路線検索サイトなど、位置情報を利用したサイトにもシリウスアドローカルを表示させていきたいと話す。また、同社は住所などの情報を緯度経度による位置情報に変換する技術を保有しており、この技術をWebサービス化して他社にも公開する考えだ。これにより、例えば複数の飲食店を持つ企業は自社のチェーン店の住所を位置情報に変換でき、位置情報を利用したサイトを簡単に作れるようになる。一方、シリウスでは位置情報を使ったサイトが増えることで、シリウスアドローカルを表示できるサイトを増やせるメリットがある。
ただしシリウスでは位置情報を使わない一般のサイトでもユーザーの居場所に応じた広告が表示できるようにシステムを開発しているといい、2006年にはこのサービスも開始する予定としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス