チュニス(チュニジア)発---将来のインターネット管理を巡る長年の摩擦が世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society)開幕直前に収束し、新フォーラムを設けて問題を議論していくことが決定した。だが、米国においても、同国に権力を集中させるべきでないとする国家においても、次なる疑問が沸いている。次なる疑問とは「同フォーラムを管理するのは誰なのか」である。
今週交わされた共同声明では、国連事務総長Kofi Annanが「Internet Governance Forum」を設置し、2006年に初会合を開くことになっている。同フォーラムでは、スパムやコンピュータセキュリティ、ドメイン管理など、さまざまな問題が議論されることになっている。
しかし、同フォーラムをどの組織下に配置するのかは明確になっていない。そのため、舞台裏では既に、密室での交渉や政治的駆け引きが展開されている。フォーラムを統括する最有力候補と目されているのは、国連機関のITU(国際電気通信連合)と、バージニア州レストンに本部を置き、理事会に米国や欧州のインターネットの先駆者らが名を連ねるInternet Societyだ。
この議論には多くの利害が絡んでいる。とりまとめを担当する団体は、このフォーラムの方向性を打ち出し、関連する規則を定めるだけでなく、最終的な結論に大きな影響を与えることができるからだ。
ITU事務総長の内海善雄氏は報道陣に対し「ITUがとりまとめ役に就任してはどうかという声が上がっている。ITUの果たしてきた役割や責任が認知されていること、そして引き続きこれらの分野で重要な役割を果たすよう要請があったことをうれしく思う。これまでの功績が認められたと考えている」と語った。
しかし、Internet Societyのジュネーブオフィスで社会政策担当ディレクターを務めるMatthew ShearsはCNET News.comに対し、今週行われた会議では「代表の多くがこの点に関して、ITUでは不十分だと考えていることが明らかになった」と語った。
「現段階ではどうなるか全く分からない。十分な検討をせずに焦って役割を決定することはできない」(Shears)
ある米国務省関係者は、匿名を条件にCNET News.comの取材に応じ、米国では民間主導のアプローチがよいと考えていると述べた(Internet Societyは民間の会員組織で、世界180カ以上に2万人以上の会員がいる)。
一方、ITUはジュネーブに本部を置き、国連の組織として運営されている。同連合は、5億3000万ドルの予算を持ち、電気通信に関わる規格作りや、周波数の利用方法に関する調整を行っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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