Googleが「OpenOffice.org」の改良に取り組むプログラマの採用を計画している。これは、各種のオープンソースの取り組みに対して同社が親近感を抱いていることや、同社が実際的な感覚を持っていることを示すものといえる。
OpenOfficeは、Sun Microsystemの「StarOffice」をベースに生まれたプロジェクトだ。Sunは5年前、このプロプライエタリなソフトウェアをオープンソースとして公開した。しかし、Microsoftの「Office」をライバルとする同プログラムに大きな注目が集まるようになったのはつい最近のことだ。
Googleは現在、同社がOpenOfficeの開発に力を貸せると考えていると、同社のChris DiBona(オープンソースプログラム担当マネージャ)は述べている。同氏によると、GoogleではおそらくOpenOfficeが大量のメモリを必要とする点やダウンロードファイルの容量が80Mバイトにもなる点を改善できそうだという。
「われわれは、エンジニアを何人か採用して、OpenOfficeの改良を手助けしたいと考えている」(DiBona)
Googleはこれまで、オープンな環境で開発され、無償で公開されているオープンソースソフトウェアに親近感を示してきた。同社のプログラマの多くはオープンソース世代で、オープンソースのプロジェクトに携わることを自然なことと捉えていると、DiBonaは言う。しかし同時に、Googleにはビジネスの面でもオープンソース開発を正当化する理由がある。
「Googleは、かなり多くのオープンソースソフトウェアを利用している。われわれは、このコミュニティの健全な状態を維持したいと思っている。また、オープンソースが業界で確実に競争力を維持できるようにもしておきたい」(DiBona)
GoogleとSunは先月、複数のソフトウェアプロジェクトを推進するために提携したことを発表したが、ただしその詳細についてはほとんど明かさなかった。GoogleのCEO(最高経営責任者)Eric Schmidtも、OpenOfficeに関するコラボレーションについて質問された際、同社の持つ力が「(OpenOfficeの)普及拡大に役立つだろう」としか答えなかった。しかし、両社が協力を目指すほかのソフトウェアプロジェクトと同じく、OpenOfficeもMicrosoftのソフトウェアと直接競合することは周知の事実だ。
IT業界で最も注目されている企業の1社であるGoogleの関与は、SunがOpenOffice.orgに注目を集めるのに役立っている。また、同ソフトウェアがMicrosoft Officeに代わるものとして真剣に検討されている理由はほかにもある。1つは、インターフェースが見直され、新機能が搭載された「OpenOffice.org 2.0」が先ごろリリースされたばかりであることだ。さらに、OpenOffice.orgは「OpenDocument」をサポートするが、これはMicrosoftのプロプライエタリなフォーマットにロックインされたユーザーを解き放つ標準ファイルフォーマットとして多くの支持を集めているものだ。
DiBonaは、非プロプライエタリなソフトウェアの開発にGoogleが時間とコストを投資する理由について、競争上の事柄には触れなかった。
「われわれは、Sunと協力する方法やユーザーを支援する方法を模索していた。オープンソースソフトウェアの改善は、資源をつぎ込むのにふさわしい部分だ」(DiBona)
Googleが利用しているオープンソース技術
Googleは、同社のデータセンターで検索処理に使われている技術について、具体的な事柄を明かさないことで有名だ。このデータセンターは、8月だけで3億8000万人からのリクエストを処理した。しかし今回、DiBonaはその詳細の一部を明らかにした。
同氏によると、Googleは主力サービスの検索用サーバをLinux OSで動かしているという。同社のLinuxコアは、Red HatやNovellのSUSE Linuxといったベンダーの提供するものではなく、Linux開発リーダーのLinus Torvaldsが「kernel.org」ウェブサイトで定期的に公開するバージョンを元にしたものだ。
DiBonaによると、Googleはプログラミング言語の「Python」やデータベースの「MySQL」などのオープンソース技術を利用しているという。さらに、Googleの「Blogger」サイトはApacheウェブサーバソフトウェアで動いており、サーバ上にあるJavaプログラムを動かすのにTomcatを使っている。
Googleでは、既存のほぼすべてのオープンソースプログラムのコンパイルに使われる「GCC」ソフトウェアも幅広く利用されている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」