GoogleとSun Microsystemsが米国時間4日に公表した提携は、両社の経営幹部らのアイデアではなく、Sunのソフトウェアエンジニアリング部門で働く一般社員の間から出てきたものだった。
Thorsten Lauxは、Sunが1999年に獲得したStarOfficeチームの一員で、今年2月にデスクトップJavaエンジニアリング担当のディレクターに昇進した。新しい役職について1カ月もたたないうちに、Lauxの頭にあるアイデアが浮かんだ。それは、SunとGoogleが各々のウェブベースの技術普及に向けて協力するというものだ。
「エンジニアリング部門では、全員がGoogle ToolbarとGoogle Searchを使っている。(Googleとの)提携は、ユーザーにとっても開発者にとっても良いことだと思った」(Laux)
Lauxは即座にこの計画を上司に話した。そのなかには、同社社長のJonathan SchwartzやCEO(最高経営責任者)のScott McNealyも含まれていた。同氏によると、両者とも説得は難しくなかったという。
LauxはGoogleに対し、Google Toolbarを、Sunのウェブサイトで配布されているJava Runtime Environmentのオプションにすることに加え、Sunのサーバをもっと購入し、1日数百万件のウェブ検索を処理する同社の大規模インフラに追加することを提案した。
Lauxはさらに、元上司のJoerg Heiligにも相談を持ちかけた。Heiligは、SunでStarOfficeのエンジニアリングディレクターを務めた後、昨年Googleに入社して、現在はGmailのエンジニアリングディレクターの職にある。HeiligはLauxに、Google Toolbarのプロダクトマネジャーを紹介し、Lauxは3月17日付けでその人物に電子メールを送った。Lauxはその人物の名前を明かさなかった。
Googleはすぐに話に乗り、その後6カ月で契約にこぎ着け、今回の提携が成立したと、同氏は語っている。
「素晴らしい仕事始めになった。Googleは普及面で優位に立てるようになり、Javaにとってもデスクトップで新たなチャンスが生まれる」(Laux)
SunのSchwartzは、ボトムアップでアイデアが生まれたことを手放しで称賛した。
同氏はインタビューのなかで、「Sunでは、素晴らしいアイデアのほとんどが組織の末端から生まれてくる。現実やチャンスとの距離が最も近いところからだ」と語った。
「すぐに反応があり、『Larry(Page、Googleの共同創業者)、Sergey(Brin、もう1人の共同創業者)、Eric(Schmidt)の3人と協力し、2+2を4以上にできるかやってみよう』ということになった」(Schwartz)
Google CEOのSchmidtは、Sunに14年間在籍していた。
今回のGoogleとSunの提携は、Sunが昨年Microsoftと結んだ契約と好対照をなしている。長年のライバルであり、法廷でも争っていた両社によるこの提携は意表をつくものだった。この10年にわたる契約の一環として、Microsoftは財務面で苦況に陥っていたSunに20億ドル近い金額を支払って、独禁法関連と特許に関する争いに決着をつけることに合意した。また両社は、互いに相手の技術の利用に関してロイヤルティを支払うことに合意した。
この契約は、両社の上級幹部らが秘密裏に会談を重ねてまとめたものだった。Sunのある社員は、2003年7月4日の独立記念日に会社に立ち寄ったところ、Microsoft会長のBill Gatesが廊下を歩いているのを目にして、非常に驚いたと述べていた。
MicrosoftとSunとの提携が、両社の協力を求める顧客の声を受けるかたちで進められたのに対し、今回のSunとGoogleの提携は、両社がともにウェブベースの技術やオープンな開発プラットフォーム、ネットワークコンピューティングという将来に向けたビジョン、さらには人的なつながりを共有していることの反映でもある。
「これは非常に重要な提携だ。そして、ごく自然な提携でもある。この話を聞いても、だれも驚かないだろう」とMcNealyは言う。「われわれは、『ネットワークこそコンピュータである』というこのネットサービスの環境の実現に取り組んでいく」(McNealy)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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