マサチューセッツ州ケンブリッジ発--Bill Joyは、ウェブが未来のプラットフォームになることに(自分の働くベンチャーキャピタルのお金を)賭けている。
Joyは、Sun Microsystemsの共同創業者で、Berkeley UnixやJavaを筆頭に、さまざまな技術開発の原動力となった人物だが、同氏によると、ウェブとつながる携帯電話やPDAなどの各種ワイヤレス小型デバイスの爆発的な人気が、ハイテク業界を劇的に変えつつあるという。
常時携帯するデバイスからいつでもアクセス可能で、インターネットが常に「手元」にあるため、同氏はこの状態を「Here(手元)」Webと呼んでいる。現在ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caulfield & ByersのパートナーであるJoyは米国時間30日、当地でTechnology Review誌主催により開催中のEmerging Technology Conferenceでこのようにコメントした。
「Near」ウェブ(手を伸ばせば届く所にあるPCを使う)から、システム同士がネットワーク網を自動的に張り巡らせる「D2D」(デバイス間ウェブ)まで、Joyが6種類のウェブとの対話形態を初めて詳細に説明したのは5年以上前のことだ。
「多くのデバイスがあり、今後は『手元』ウェブが最も重要になる」(Joy)
Joyはさらに、このような形でウェブが拡大すればGoogleなどの企業が有利になっていく、とも推測した。Googleは、最も興味深く重要なソフトウェアアプリケーション用の未来のプラットフォームとしてのウェブに社運を賭けている。
同氏は、現在の主力プラットフォームであるPC上での開発作業は減っていくだろう、とも指摘した。「いずれはウェブがプラットフォームになり、GoogleがMicrosoftに取って代わるかもしれない。PC用のアプリで、なにか絶大な人気を誇る興味深いものがあるだろうか。だれも思い浮かばない」(Joy)
Joyは、ベンチャーキャピタルの世界への転身について、「Kleinerの仕事は楽しい。こちらの方が近代的な組織だ。Sunにはヒエラルキーがはっきりとあった。それに対し、Kleinerはとてもフラットな組織だ。みんなが同僚だ」と語った。
Joyは、技術分野にとどまらず、融通の利かない階層を無くしたベンチャー事業が最も大きな成功を収めるだろう、と考えている。同氏は、その例として予測が非常に難しいPC業界を挙げた。
「オープンソースの世界がお手本になる。Compaqのディーラー網がDellの直販モデルに対抗できなかったように、階層のある組織は新しい企業ほど素早い対応がとれない」(Joy)
Joyは、SkypeなどのVoIP技術の人気上昇についても、改善の余地がかなり残されている、と語った。
「個人的には、音声での会話はかなりイライラする。ボイスメッセージを残されても、自分の方から連絡を取る可能性は低い。それでも、音声には暖かさがある。だが、ウェブとの統合に苦戦しているメディアだ。ある友人は、頭の上にノートPCを乗せてSkypeを利用する。何か新しいフォーマットが必要だろう」(Joy)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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