ワシントン州裁判所は米国時間13日、Microsoft元幹部に対して、2006年1月の審理を待たずに、Googleの中国研究開発センターでスタッフの採用活動に従事し始めてよいとする裁定を下した。
MicrosoftはKai-Fu LeeがGoogleの業務に従事することについて、同氏が2000年のMicrosoftバイスプレジデント就任時に交わした1年間の非競争契約に違反すると主張し、同氏がGoogleでの仕事に着手することに対する一時差し止め命令を延長するよう、キング郡上級裁判所に求めていた。これに対しGoogleは、同氏がMicrosoftと結んだ契約について、Leeが中国での採用業務に従事することを妨げるものではないと反論していた。
Steven Gonzalez判事は13ページにおよぶ裁定書のなかで、Leeの中国における業務は、採用活動および、事業免許取得に向けた政府官僚との交渉に制限されるべきであると述べた。さらに同裁定は、Leeが検索や音声認識分野の業務に就くことを禁じている。またLeeは、Googleで、予算や従業員の給与、中国センターが取り組む研究テーマの決定に関与してはならないという。
また同裁定では、LeeがMicrosoftの従業員を勧誘したり、Microsoftで得た機密情報を使用したりすることも禁止されている。
同裁判所は事実認定のなかで、Leeが、長期有給休暇後には会社に戻るとしておきながら、実際は同期間中にGoogleと接触し、同社に移籍したことについて、Microsoftを欺く行為であると述べた。また裁判所は、LeeがMicrosoft在籍中から、Googleを支援したとも述べている。
「Leeは、Microsoftの機密情報をMicrosoftの利益のために使用する権利を、自分や他者のために使用できるものと誤解していたようだ」と裁定書には書かれている。
またこの裁定を下すまでの過程において、LeeがMicrosoftで、Microsoftが中国政府との関係を構築するために策定した戦略や、中国での活動に関する機密情報を入手していたことも明らかになった。しかし、裁定書には、同氏がMicrosoftで得た機密情報を利用しない限り、Googleで働く人材を採用するために大学経営者や教授に会い、彼らから中国で事業を展開するうえでの「一般的かつ非技術的な側面に関する」アドバイスを受けることは非競争契約違反にあたらないと書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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