eBayによるSkype買収の話題で、ブロガーのコミュニティがさっそく盛り上がった。彼らの間では、この動きの背後にどんな思惑があるのか、そしてeBayがSkypeの通信技術をどう利用していくのかをめぐって、さまざまな憶測が飛び交っている。
米国時間12日にこの買収のニュースが報じられると、Technoratiの検索人気ランキングでは「Skype」や「eBay Skype」といった単語がさっそくベスト10にランクインした。
誰もがこの買収については、言いたいことがあるようだった。またeBayがなぜSkypeを選んだのか、はたしてこの動きは賢明なものだったのかという点については、ブロガーの間でも大きく意見が分かれた。
ITと技術に関するブログをつづるMark Evansは、「この買収には防衛策といった意味合いがある。ウェブがこの先、一握りの大企業によって支配されることが、ますます明らかになってきている。重要なのはトラフィックだ・・・現在広告市場やEコマースの市場が大きな成長を遂げている。これはトラフィック(を集めること)が大きなビジネスになっていることを意味する。Skypeには5200万人の登録ユーザーがおり、200万人の顧客が有料のサービスを利用している。eBayは、この(ユーザーの)データベースを使って他のサービスをクロスセルすることや、(VoIPの)主流になりつつあるSkypeの音声サービスから新たな売上を得ることが可能になる」と記している。
この買収が発表される数日前、Oliver Starrは買収の噂に懐疑的な見方を示していた。「eBayはネットオークションの会社だ。同社は商品の取引については確かに専門的なノウハウを持っているだろう。しかし、通信事業のことが分かるのか。これは(オークションとは性質が)異なり、とても競争の激しいビジネスだ。しかも、これはeBayが考案したものではない。さらに、Skypeに大きな潜在力があることは明らかだが、その大半は未開発だ。さらにSkypeが提供する無料サービスに満足しているユーザーが、eBayのような会社の手に渡るのを知っていながら、貴重なキャッシュを喜んで差し出すかどうかなど、大きな不確定要素が付きまとっている」(Starr)
その後、この買収が決定事項であるとのニュースが広がるに従い、当初の「なぜ」という疑問に代わって「どうして今なのか」という点が話題の中心になった。
一部のブロガーは、この画期的な買収が通信業界に対して大きな影響を及ぼすことになるという見方をしている。VoIPビジネスの先駆けの1人であるJeff Pulverは、「後世の歴史家は、本日発表されたeBayによるSkypeの買収を、通信業界の歴史的転換を示す大きな出来事として認識することになるかもしれない。この買収は通信業界全体の勢力図を塗り替えるものであり、さらに音声、プレゼンス、テキストメッセージやその他のIPベースのアプリケーションがこれからの通信企業にとって欠かせないものになることを示している」と自身のブログに記している。
Jupiter ResearchのIan Foggも、通信業界の大手各社がこの買収に注意を払うという点に同意するものの、通信企業各社が示す反応についてはまったく異なる見方をしている。同氏は、「今回の買収により、Skypeが通信会社ではないことが示された。Skypeが脅威とはならないことが分かったのだから、通信企業各社は安堵の溜息をついているかも知れない。つまり、eBayに買収されると、Skypeは音声通信だけに集中することが難しくなるというのが彼らの考えだ。Skypeのロードマップは、eBayのビジネスモデルに合った付加機能に重点を移すことになり、従来の通信企業の縄張りを荒らす機能の開発は後回しにされる」とJupiterのAnalyst Weblogに記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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