文化審小委員会、iPod課金の決着は9月以降に先送り--補償金制度自体も見直しへ

岩本有平(編集部)2005年08月25日 23時29分

 文化庁は8月25日、第7回文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議を開催し、9月に公表する中間報告「審議の経過(案)」について審議した。

 2005年2月末より開始している同委員会では、私的録音録画補償金制度の対象にiPodをはじめとするデジタルメディアプレイヤーを追加するか否かといった課題が審議されているが、委員会内で意見が激しく対立しており、結論が出ていない。今後も引き続き検討する必要があるため、本来「中間報告」として発表するところを賛否両者の意見を併記した「審議の経過」という形で9月の著作権分科会で報告することとなった。

 私的録音録画補償金制度とは、MDやCD-Rなどデジタル方式の録音・録画媒体の価格に、著作物の私的利用に関する著作権者への補償金をあらかじめ含ませ、家庭などでにおける著作物のコピー利用による著作権者の損害を防ぐ制度だ。現在、私的録音録画補償金について委員会で検討中の課題は3つある。

  • ハードディスクプレイヤーを補償金の対象として追加指定するかどうかを、実態をふまえて検討する
  • 現在対象となっていないPCのハードディスクやデータ用CD-Rなどのメディアの追加指定について、実態をふまえて検討する
  • 現行の対象機器や媒体の政令による個別指定について、法技術的な観点から見直しが必要か検討する

 また、その他の課題として「私的録音録画補償金制度の課題」が挙げられた。その中には、「録画技術の進展やコンテンツのオンライン配信の普及といった中、補償金制度の縮小や廃止の是非も含めた根本的な見直しについて、期限を設定した上で検討すべきだ」との意見も多くあった。また「すでに制度が破綻をきたしており、速やかに廃止すべき」との意見もあったため、補償金制度の存続の可否や制度を廃止した場合の段階的縮小の是非、補償金制度の見直しといったことも検討すべきだとした。

 同日の審議では委員から「本来の課題はハードディスクプレイヤーやPCのハードディスクなどの補償金制度への追加の是非がテーマだったが、調査を進めると制度そのものに問題のあるものだとわかってきた。制度そのものの問題は『その他の問題』といった取り上げ方ではなく、個別の課題として取り上げるべきではないか」との意見もあった。

 同委員会では今回審議された「審議の経過(案)」を「審議の経過」として9月8日の著作権分科会で発表し、その後パブリックコメントを募集した上で、最終的には12月の分科会で報告書をまとめる予定だ。

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