大手保険会社Geicoの商標を使った第三者の有料検索広告をGoogleサイト上で表示したことに対し、この行為が商標権の侵害にあたり、また広告を掲載した責任をGoogleに問える可能性があるとする見解が米地裁で示された。
地裁のこの見解について、Geicoの上級法務担当、Jonathan Shafnerは米国時間16日、判事が当事者間の和解を望んでいることを示すものだと述べたものの、和解の話し合いについては何もコメントできないとした。
当事者間での和解が判事が認めた30日の期限内に成立しない場合は、訴訟が引き続き行われ、Geico以外の広告による同社の商標件侵害の責任をGoogleに問えるかどうか、さらにその場合の被害額はどうなるのかについての審理が行われるとShafnerは述べた。
バージニア州東部地区連邦地方裁判所は、8月8日に発表した意見書の中で、Googleの勝訴と見られた2004年12月の口頭による意見を繰り返すと共に、その内容をさらに詳しく述べた。
Leonie Brinkema判事は、Geicoが2004年に起した商標権侵害訴訟の却下を求めるGoogleの申し立てを少なくとも部分的に認めた。Geicoは、Googleの検索サイトで「Geico」や「Geico Direct」という単語を検索すると、検索結果の表示ページにライバル企業の広告が表示されることを問題視し、これが商標の侵害に当たるとしてGoogleを提訴した。Googleでは合、検索結果の中に広告を表示することから得られる広告収入が売上の大部分を占めているが、Geicoは、このような手法は同社の商標の価値を希釈し、消費者を混乱させると訴えた。
しかし、同判事は同意見書の中で、Geico以外の企業が広告料を負担しているスポンサー付きリンクのテキスト内にGeicoの商標が含まれていれば、検索者が(Geicoの広告であると)勘違いする可能性は十分にあった、と述べている。
「この結論に基づき、Googleは、そのような(Geicoの商標の)利用の阻止を開始する以前の期間、または、スポンサー付きリンク内にGeicoの商標が表示されるのを阻止することを目的としたGoogleのシステムをすり抜けた、あるいはすり抜け続けている広告に関して、商標権侵害の責任を負う可能性がある」(同意見書)
しかし、Googleはこの裁判で他の法的手段に訴える可能性がある。
マーケット大学法学部のEric Goldman助教授は、「Googleは、それらの広告について責任を負うのは自分たちではなく広告主だと主張する可能性がある」と語る。同教授はまた、Googleは印刷会社や出版社が用いる特別な防衛手段に訴える可能性があると指摘する。その手段とはすなわち、顧客が作成した広告のコピーにおける商標権侵害については、媒体側では責任を負わないというものだ。
同地裁によると、この判決は、今回のケースの特定の事実にのみ適用されるもので、スポンサー付きリンク内に含まれるGeicoの商標を広告主が利用した結果発生した商標権侵害についてGoogleは責任を負うのか、また、Googleの米商標法(Lanham Act)違反が発覚した場合にGeicoが被ったと認定しうる損害はどの程度か、といった問題は扱っていないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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