「音楽配信サービスが登場することで、インターネットを通じて、もしくはデジタルオーディオプレイヤーに保存して音楽を聞くようになり、ユーザーが音楽に親しむ場が増える。(ニュースや音楽情報サイトなど)インターネット上で新しい楽曲に出会ってそのまますぐに楽曲が買えるようになるし、これまで音楽から遠ざかっていた人が戻ってくるきっかけになるかもしれない。ユーザーの音楽との接し方に広がりが出て、音楽業界全体の活性化につながるだろう」(山崎氏)
しかし、音楽配信サービスが普及することで、これまでCDを購入していたユーザーが音楽配信サービスを利用するようになり、CDの売上が落ち込む可能性はないのだろうか。この点について山崎氏は楽観的だ。同社の楽曲の販売状況を見ると、音楽配信サービスで売れたためにCDが売れなくなった楽曲は特にないという。「音楽配信で人気があるような曲はCDも売れている。逆もまたしかりだ」(山崎氏)。このため、音楽配信がCDの売上にマイナスの影響を与えるとは考えていないようだ。
ただしシングルやアルバムの楽曲が1曲ずつ購入できることで、ベスト盤やコンピレーションアルバムが売れなくなる可能性については、山崎氏も「厳しい状況にはなりうる」と認める。これらの分野に関しては、ユーザーに買いたいと思わせる企画力が問われるようになると話す。
「コンピレーションアルバムに関しては、『東芝EMIが提供する』という安心感が1つの売りになる。ベスト盤については、ジャケット写真も含めた1つのパッケージとして、アーティストが表現する形をユーザーに届けていく」(山崎氏)
では、音楽配信サービスは今後どの程度の規模にまで成長するのだろうか。東芝EMIの場合、音楽配信サービスによる売上は現在、全体の2〜3%程度だという。これを10%にまで引き上げるのが当面の目標だ。ただしこれはCDの販売を音楽配信が取って代わるという意味ではないと山崎氏は強調する。「音楽配信サービスによって売上全体が伸び、その中で音楽配信サービスも伸びていくことが重要だ」
今後は、「ユーザーが求める楽曲をタイムリーに、もれなく伝えていけるようにする」(山崎氏)という。具体的には音楽配信サービスに提供する楽曲のラインナップをさらに増やすこと、配信先を広げていくことが当面の取り組みとなるようだ。現在は音楽配信サービスに楽曲を提供していないアーティストについても、「音楽配信サービス抜きに(音楽事業は)語れない。1人でも楽曲を聴いてくれる人を増やすことがアーティストとレコード会社の共通の目標だ」として、楽曲を提供していく考えだとした。
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