America Online(AOL)は米国時間6月30日、ビデオ・オンデマンド検索サービス「AOL Video」のベータ版をひそかに公開した。ユーザーは同サービスを利用して、AOLの親会社Time Warnerが提供する音楽やニュースなどの動画コンテンツを閲覧できる。AOLにとって、Time Warnerの保有する大量のメディアコンテンツが、GoogleやYahooなどのライバル企業と戦っていくうえでの最大の武器となる。
ユーザーはAOL Videoを利用して、Time Warnerが作成またはライセンスを取得した1万5000件以上のビデオコンテンツを無料で検索したり、再生したりすることができる。提供されるコンテンツには、テレビ番組や音楽ビデオ、Warner Bros.の映画予告、CNNとMSNBCのニュースクリップなどが含まれる。同社は将来的には、ウェブ上の音楽/動画コンテンツを対象とするマルチメディアファイル検索エンジン「Singingfish」を使って、AOL Videoサービスを強化する予定だ。Singingfishは、AOLが2003年に買収した音楽/ビデオ検索エンジン。
AOLは、AOL Videoのベータ版について、7月5日に正式に発表する予定だ。しかし、AOLのベータサイトAOL.com Betaにアクセスし、Videoタブをクリックすると、同サービスを利用することができる。AOLは5日、最新のマルチメディアコンテンツを閲覧するための特殊なページである「Video Hub」の開発について、あわせて発表する計画だ。このサービスは2005年夏に提供が開始される見込み。
まだベータ段階ではあるものの、Time Warnerの動画コンテンツを無料でユーザーに提供するAOL Videoは、同社にとって最大かつ最も包括的な取り組みとなる。同サービスのコンテンツはこれまで、AOLメンバーに限定して提供されてきた。AOLは現在、ダイアルアップとブロードバンド接続サービスの加入者減少という問題に直面している。そのため、さまざまなコンテンツやサービスをウェブ上で展開することで、サイトへのトラフィックを増やし、ビデオ広告の販売を促進しようとしているのが現状だ。
検索大手のYahooとGoogleがリードしてきたオンライン広告の分野で勢いを盛り返し、利益を上げようと考えるAOLは、この戦略に重点的に取り組んでいる。市場アナリストらは、オンラインビデオ広告は大きな成長市場だと分析する。
だが、ある業界観測筋はAOLの新サービスについて、懐疑的な見方を示している。
9月にウェブ検索に関する書籍を出版するJohn Battelleは、「所有しているコンテンツが多いという理由だけで、他社より秀でた検索サービスを提供できるとは思えない」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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