ファイル交換ネットワークを運営する各社が、今後の運命を左右する米最高裁の判断を待つなか、一部の起業家らは、この無秩序なネットワークを商取引に利用する計画を打ち出している。
米国時間22日、Gnutelligenceという新サービスが開始された。これは、Googleのスポンサー付き検索結果に酷似した機能をオープンソースのGnutellaネットワークに取り入れようという試みだ。
同サービスは、LimeWireの元社員が運営しており、Gnutellaネットワークのなかで、特定のキーワードを検索すると、それに対応する明確に区別された広告付きの検索結果を表示する仕組みになっている。そのため、たとえば「Britney Spears」というキーワードで検索すると、Britney Spearsの新しいアルバムを販売するCDショップのサイトへのリンクが表示されることになる。
Gnutelligence創業者であるSusheel Daswaniは、「PtoPだからといって著作権を侵害しているとは限らない。合法サービスだって提供できる」と語っている。
Daswaniのサービスのように、合法的な企業からのメッセージを伝えて膨大な数のファイル交換ネットワークユーザーに狙いを定める試みは、これまでも何度か行われてきた。しかし、今このようなサービスを立ち上げるのはリスキーな行為といえる。米最高裁が、早ければ23日にもGroksterやStreamCast Networksのような企業の将来を決定づける判決を下そうとしており、ファイル交換サービスはその短い歴史のなかで最も重要な岐路に立たされているためだ。
PtoPソフトウェアを開発するベンダーに対し、合法あるいは違法であるとの明確な判決を同裁判所が下すと予想する意見は少ない。しかし、著作権のある作品を区別するフィルタの導入を義務づける、あるいは、いかなる方法でも著作権侵害を助長しない、といった何らかの新たな制限がこれらの製品に課せられれば、今日のPtoPネットワーク文化がどのように変化するかは予測できない。
ファイル交換ネットワークでの検索をビジネスにしようという試みは以前から行われてきた。KazaaとGroksterでスポンサー付き検索結果を表示させているAltnetは、PtoPサービスでもコンテンツを配信するよう何年も前から各社に働きかけてきた。
だが、主にゲームベンダーを相手にしたこの取り組みは、これまでのところほとんど成功していない。Altnetの広報担当によると、同社は1カ月あたり平均15万本の有料コンテンツのライセンスを顧客に配信しているという。しかし、親会社のBrilliant Digital Entertainmentは財政的に苦境に立たされており、現金が残り少なくなるなかで新たな資金調達先を探している。
一方、Groksterの元幹部であるWayne Rossoは「Mashboxx」というまったく新しいPtoPネットワークを立ち上げようとしている。同サービスでは、オリジナルのNapster開発者、Shawn Fanningが創業したSnocapの技術を使い、音楽ファイルの交換を有料の取引に変えるという野心的な計画を進めている。
しかし、既存のPtoPネットワークでは、スパムに対するおそれがかなり前からあり、ファイル交換コミュニティのなかで議論の的になっている。たとえば、現在典型的なPtoPネットワークで検索をかけると、本物に見せかけたポルノ広告が結果として表示されるような場合が多くある。
ソフトウェア企業各社や大学の研究者らが、スパム対策技術をいくつか開発しているが、しかしこの問題はそれでも解決されていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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