今年、最も注目される法廷闘争の1つであるPtoP訴訟で、米最高裁は20日にもファイル交換サービスの運命を決する判決を下す。
この裁判の結果は、ハリウッドの大手映画会社からシリコンバレーの大手ハイテク企業に至るまで、様々な方面に影響を与える可能性がある。裁判の参加者には、各州の検事総長やキリスト教徒連合などそうそうたる顔ぶれが並んでおり、彼らは、仮に最高裁が彼らの助言を無視した判決を下せば、破滅的結果を招くと警告している。
この裁判の争点は、ハイテク企業が自社製品を使って行なわれた著作権侵害行為についてどこまで責任を負うかという点だ。問題の核心はPtoPを使ったファイル交換にあるが、最高裁は著作権から得られる利益と、過去20年間続いてきたハイテク技術の進歩の間で、法律上の微妙なバランスを取ろうとしている。
ワシントンDCを拠点とする著作権専門の弁護士、Raymond van Dykeは、「この種の裁判が最後に最高裁に持ち込まれたのは21年前のことだ」と述べ、さらに「その後、ハイテクも変化を遂げており、新たな指針が必要な時期に来ているのかもしれない」と語った。
実際、大手映画会社およびレコード会社と、ファイル交換サービス企業のGroksterとStreamCast Networksの2社との間で争われているこの訴訟は、ハイテク企業や著作権料から利益を得ている企業にとって、最も重要な裁判の1つというのが大方の見方だ。
この裁判では、Groksterなどのファイル交換サービス企業が、同社らのネットワーク上で蔓延している著作権侵害行為について法的責任を負わされないとした、一連の下級審判決の扱いが争点の1つになっている。この判決は映画会社およびレコード会社の幹部を激怒させた。
ファイル交換ネットワークについて、これまで通りの運営方法が許されれば、経済活動の最も基本的なルールが危険にさらされる、というのが映画製作会社らの言い分だ。
全米映画協会(MPAA)のCEO、Dan Glickmanは14日に行なった講演の中で、「自由市場を促進する法的保護を維持すべきか、あるいはそれらの保護を撤廃し闇市場の繁栄や支配を許すべきか」と問い掛け、さらに「これらの(PtoPソフトウェア)企業は、コンテンツを不正に利用し、巨大かつ世界的規模で著作権侵害行為を助長している」と指摘した。
これまで、映画製作会社およびレコード会社は再検討のための新たな基準を提案してきた。この基準では、著作権侵害行為の助長が事業内容の「大半」を占めている企業は、顧客が犯した著作権侵害行為の責任を負うことになる。
この案に対しては、PtoP企業以外のハイテク企業も経営上の脅威となるのでは、との懸念を抱いている。
Intel、ベンチャーキャピタリスト、家電メーカーらは、最高裁がビデオカセットレコーダー(VCR)の販売を合法とした21年前のSonyのBetamaxに関する判決を、今後も維持すべきだと主張している。同判決では、「著作権を侵害しない多くの使い方が可能な」製品を販売した場合、(ユーザーが行なった著作権侵害行為について)法的責任は問われないとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向 けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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