Googleがミシガン大学と結んだ、同校の持つ膨大な蔵書をインターネットで検索できるようにする契約について、その内容が米国時間17日に明らかにされ、このなかには利用者のプライバシー保護に関する条項が一切含まれていないことがわかった。
Googleは昨年末に、ミシガン大学にある最大700万点の資料のデジタル化とインデックス化を行う計画を発表した。この計画は、各種書籍の検索を可能にする「Google Print」サービスの一環として、同校の蔵書をインターネットで検索できるようにすることを目的としたものだ。Googleはほかにハーバード大学、オックスフォード大学、ニューヨーク公立図書館、スタンフォード大学とも同様の契約を結んだ。スタンフォード大学では、Googleの共同創業者であるSergey BrinとLarry Pageが1998年に同社を創業するまで検索の研究を行っていた。
これらの図書館プロジェクトには、複数の大学がつくるグループや各出版社から著作権に関する懸念が浮上していたが、ほかにもウェブで検索可能なデータの拡大を目指すGoogleの計画に対して、プライバシーの問題がいつくか持ち上がっている。
Googleのポリシーを糾弾する「Google-watch.org」ウェブサイトを起ち上げたDaniel Brandtは、「Googleがあらゆる人と物をトラッキングしている事実に関して、ミシガン大学はもっと慎重を期すものと思っていた」と語っている。
Googleの広報担当からは、17日夜の時点でこのコメントに対する回答を得ることはできなかった。だが広報担当は先に、Google Print利用者は個人を特定できる情報を明らかにする必要がないと語っていた。
しかし、たとえ現在は個人を特定できるデータと検索などの各種操作を結びつけていない、あるいは個々のユーザーの活動を詳細にトラッキングしていないからといって、将来もそうしないという保証はない。特に、米国政府の要請があった場合などにはわからないと、先の広報担当は述べていた。
Googleのウェブサイトにあるプライバシーポリシーには、「アカウントをお持ちの場合、シームレスな使い勝手の実現とサービス品質向上のため、Googleがそのアカウントから得た情報を全サービスで共有する場合があります」とある。
Brandtとインターネットプライバシーの専門家Richard Smithによると、問題はGoogleがクッキーを使用する点にあるという。クッキーは、大半のウェブサイトが利用しているトラッキング用のタグで、特定のユーザーと、そのユーザーのオンライン上での活動を結びつける目的で使われている。Googleによると、パスワードやログイン情報を自動入力したり、居住地域を特定した情報を提供するなど、クッキーは顧客のサービス向上のために利用されているという。「computerbytesman.com」ウェブサイトを運営するSmithは、「Googleはクッキーでトラッキングを行っているため、その情報の利用方法が問題になる」と語っている。
だが、ミシガン大学ではこの点を気にかけていない。同大学の暫定司書James Hiltonは、「利用者のプライバシーならびにプライバシー全般について常に気遣っているが、ネットにおけるGoogleなどの各種検索エンジンを特に懸念しているようなことはない」と述べている。
米国図書館協会(ALA)の知的自由相談室副理事Deborah Caldwell-Stoneによると、ALAの倫理規定は、図書館が利用者のプライバシーと機密を保護し、提携先にも同等の保護対策を要請するよう推奨しているという。
「アクセスは匿名で行われるべきである」(Caldwell-Stone)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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