ある調査報告書によると、最近のCD売上の落ち込みはファイル交換ネットワークだけが原因ではないという。
フランスの首都パリに拠点を置く経済協力開発機構(OECD)は現地時間13日に発表した調査報告書のなかで、たしかにデジタル音楽の著作権侵害は問題だが、娯楽の種類増加などの他の要因が楽曲の売上に多大な影響を及ぼしている可能性が高いと述べた。
OECDは報告書の中で、「音楽売上の落ち込み幅とファイル交換の増加との因果関係を証明する基盤を築くのは極めて困難だ。CDの販売および合法なオンライン音楽サービスは、物理的な著作権侵害行為やCDへのコピー、他の新たな娯楽製品との競争、一部の市場における個人消費の落ち込みなど、ファイル交換以外の様々な要因の影響を多少なりとも受けた可能性が高い」と指摘している。
同報告書によると、たしかに1999年から2003年までに世界全体のCD売上は20%減少したという。特に米国ではCD売上が大幅に減少したが、フランス、ドイツ、日本、英国といった国々の同時期のCD売上は、横ばいか増加傾向にあったという。
さらにOECDは、一部の音楽ダウンロード事業について、そのビジネスモデルの持続性を疑問視している。OECDは、音楽業界に対し、オンライン著作権侵害行為を撲滅することと、消費者にとって魅力あるビジネスモデルを確立することのバランスを取るよう警告した。またOECDは報告書の中で、音楽業界が、既存および新興のオンライン音楽サービス企業に、合法的な音楽配信事業によって収益を拡大できる仕組みを提供しなければならないと指摘している。
同報告書は「オンライン音楽に対する需要が増加し、違法ダウンロードとの競争を余儀なくされる中、オンライン音楽プロバイダは現状の価格で利益を出すのに苦慮しているようだ」とし、さらに「現在のような小規模な市場では、デジタル分野のスケールメリットは実現できない。レコード会社がアーティストたちを輩出するためにかかる固定コストは基本的に以前と変わらない。また、楽曲のデジタル配信にはかなりのコストがかかっている」と指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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