PtoP技術の開発者であるBram Cohenは、ファイル交換プログラムの「BitTorrent」を開発したことでインターネットの歴史にその名を刻んだ。
しかし、Cohenがつくったオープンソースのソフトウェアは、映画やソフトウェアといったファイルを合法/違法にダウンロードする手段として、いまや世界で最も広く利用されているにも関わらず、同氏が生活していく上での足しにはほとんどなっていない。
そこで、Cohenはサンフランシスコ・エリアでBitTorrent製品に特化した新興企業を立ち上げ、寄付依存型の不安定なビジネスを、安定したビジネスに変えようとしている。同社が出す初めての製品は、BitTorrentファイルへのリンクを探す広告サポート型の検索エンジンで、2、3日中にリリースされることになっている。
「われわれは安定収入の見込める事業を目指している」と語るCohenは、このプロジェクトのためにサンフランシスコ・エリアに戻ろうとしている。
BitTorrentファイルの検索手段がこれまでほとんどなかったことから、Cohenの企業が所有するウェブクローリング技術をベースに開発されたこの検索ツールは、各種のファイルをダウンロードするネットユーザーの間で重宝されることだろう。
Kazaa、eDonkey、オリジナルのNapsterといったPtoPネットワークとは異なり、BitTorrent には中心となる検索技術は存在せず、その代わりに特定のファイルへのリンクが複数のウェブサイトに掲載されている。最近は、映画や音楽など著作権で保護されたファイルを専門に扱っているウェブサイトが訴えられ、閉鎖に追い込まれることがよく起こっている。
こうした訴訟攻撃をうまく逃れて現在まで存続しているツールは、わずか2、3種類だ。「SuprNova」という大規模はBitTorrent関連サイトの元運営者らは、Cohenのダウンロード技術と従来から存在する検索可能なファイル交換ネットワークを統合した「Exeem」と呼ばれるアプリケーションを配布している。
「Bitoogle」という以前から存在するウェブ検索ツールも、ある程度の検索機能を備えているが、CohenによるとBitTorrent検索のほうがBitoogleよりも強力だという。
Cohenのつくった検索ツールには、検索結果から著作権で保護された無数のファイルを選別して排除する機能は備わっていないものの、他の検索エンジンと同様に連邦著作権法を遵守し、著作権を侵害しているファイルにつながっていると著作権保有者から指摘されたリンクは全て排除すると、同氏は説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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