Netscapeは米国時間19日、オンライン詐欺の被害からユーザーを保護することに主眼を置く、「Netscape 8」の正式版をリリースした。
アルファやベータといった同ブラウザのテスト版は、すでに2月から提供されていた。NetscapeのゼネラルマネージャJeremy Liewによると、正式版とテスト版の違いは、主に外観に関するものだという。Netscapeは現在、Time Warner傘下のAmerica Onlineに属する部門の1つとなっている。
Liewによると、3月に一般公開されたパブリックベータ版を利用した人の数は100万人近くに達したという。このときに指摘された問題点の多くは、ブラウザのルックアンドフィールに関するものだったと同氏は述べる。またこのプロセスを通して、Netscapeは、バグ修正やソフトウェアの最適化を行い、ブラウザの安定性と速度を向上させたとLiewは付け加えている。
セキュリティ機能には、テスト版のときと変わりはない。「セキュリティは、この新しいブラウザを皆に使ってもらうための目玉とも言える」とLiewは述べる。「ウェブは、以前より危険な場所になってきた。フィッシングやスパイウェアの脅威は、ますます現実味を帯びてきている」(Liew)
Netscape 8は、スパイウェアとフィッシングという、消費者が最も懸念するセキュリティ上のリスク2種類を軽減するように設計されている。スパイウェアとは、ユーザーが気付かないうちにマシン内部に侵入し、ユーザーのインターネット上の行動を監視する悪質なプログラムのこと。フィッシング詐欺は、ユーザー名やパスワード、クレジットカード情報などの個人情報を盗もうとする、典型的なオンライン詐欺である。通常のフィッシング攻撃では、スパムメールと、正規のウェブサイトに見せかけた偽のウェブページが利用されている。
スパイウェア対策として、Netscape 8には、保護レイヤーが追加されているとLiewは述べる。スパイウェア対策ツールの多くは、悪質なソフトウェアがユーザーのPCに入り込んだ後に機能する。しかし、Netscape 8は、悪質なソフトウェアがユーザーのPCに入り込まないよう、入り口で侵入を阻止するとLiewは説明する。
またフィッシング詐欺対策としてNetscape 8では、ユーザーがウェブサイトを閲覧している最中に、セキュリティ関連の設定が自動的に行われるようになっている。セキュリティ設定は、悪質なサイトとして知られるサイトや、信頼できるサイトを掲載した一覧に基づいて行われる。一覧は、1日に3回更新され、ユーザーのPCがインターネットに接続された時に自動的にダウンロードされるとLiewは説明する。
Netscapeは、AOLに加えて、VeriSignや非営利のプライバシー擁護団体であるTruste、セキュリティソフトウェア企業のParetologicから提供される情報を使用して一覧を作成している。
Netscape 8はFirefox 1.0.3の技術を利用して開発されており、同ブラウザでも使われている「Gecko」レンダリングエンジンがデフォルトで搭載されているが、同時にIEのブラウザエンジンもサポートする。IEエンジンは、高い互換性を確保するために利用される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス