同じ2本のウィンドサーフィンのビデオを繰り返し見ることにうんざりしたKarl Quistは、自分のような熱狂的スポーツファンをターゲットにしたコンテンツを無謀にも制作し、自ら波を起こすことを決心した。
「この作品のターゲット顧客は自分自身だ。特定のトピックに対して興味津々なのに、見たい作品がゼロという人たちだ」と、バージニア州ノーフォークに拠点を置く新興企業TotalVidでゼネラルマネージャを務めるQuistは述べた。「見たい作品が他にないので同じビデオを1000回も見ていたら、妻に気がおかしくなりそうなのでやめて欲しいと言われてしまった。そこで私が考えたのは、もし、何らかのトピックに夢中になっている人が、自分の探し求めているコンテンツを提供する場所に出会えたなら、大喜びするのではないかということだった」
その結果、Quistは1年半ほど前に、TotalVidを立ち上げることにした。Landmark Communications傘下で、従業員10名の同社は、エクストリーム系スポーツ、アニメ、格闘技、リフォームなどの専門性の高いビデオ作品をPC向けにダウンロード販売している。
TotalVidは、人気映画作品をダウンロード可能にするCinemaNowやMovieLinkのサービスとは違い、見たいコンテンツの供給チャネルが限定されているニッチな市場を対象としている。家庭におけるブロードバンド普及率の上昇とともにコンテンツに対するニーズが高まっていることや、ビデオダウンロードサービスが人々の関心を集めていることが自社ビジネスの追い風になると同社では考えている。
調査会社In-StatのアナリストGerry Kaufoldは「特定の視聴者を対象にしたビデオ作品を制作する傾向が強くなっている。どのような視聴者層を対象としているのであれ、視聴者層を限定したビデオ作品が増えている」と述べた。
インターネットを介したビデオ配信サービスが普及するにつれ、TotalVidのようなサービスを提供する企業が今後増える可能性がある。2004年には10億ドルだったビデオダウンロードサービス市場の売上高は、2008には約50億ドルにまで成長するとIn-Statは予測する。この額は、年間約500億ドルもの売上を誇る映画業界と比べると見劣りするが、ダウンロードサービス市場の方が成長速度が速い。
家庭でのブロードバンド普及率が高まっていることから、デジタルコンテンツ企業各社は、映画などのコンテンツをブロードバンド利用者に提供する機会を狙っている。問題は、多くの消費者が他の方法でコンテンツを購入することに慣れていることだ。
「DVD、VOD、PtoP、ケーブルテレビ、地上波放送、衛星放送、ペイパービュー方式の有料テレビ、レンタルビデオなど多くの方法でコンテンツが既に提供されている。ある人気映画作品を簡単に安価で入手しようと思ったら、1001の方法がある」と調査会社JupitermediaのアナリストTodd Chankoは述べる。
TotalVidの利点は、マウンテンバイクなどのように今まで誰も目を付けていなかった分野の作品を、他社に先んじて市場に投入している点だ。TotalVidは現在、1000以上の作品を提供している。価格は、7日間のレンタルで4ドルとなっている。また利用者は、DVDや、無制限に視聴可能なデジタル版コンテンツを購入することもできる。その場合、DVDの価格からレンタル料が差し引かれる。
「TotalVidは、非常にアクセスしやすい方法(インターネットからのダウンロード)で、これまで見向きもされなかった市場に対応している」とChankoは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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