Yahooが米国時間11日に新しい音楽サービスを提供開始する予定だ。これにより同社は、オンライン音楽市場を独占するApple Computerからシェアを奪う構えだ。
Yahooの音楽サービスは、NapsterやRealNetworksが提供するサービスと同じく、月額制のサブスクリプションサービスを中心に提供される。ユーザーは購入した楽曲を携帯音楽プレイヤーに保存することができる。競合各社は月額15ドル程度でサービスを提供するが、Yahooのサービスは、それより大幅に安い月額6.99ドルで提供される。
同サービスでは、インスタントメッセージ(IM)をはじめとするYahooの人気アプリケーションとの連携が図られている。これは、コミュニティを作ったり、合法的にファイル共有を行ったりするための環境をユーザーに提供すれば、サービスがより魅力的なものになるとYahooでは考えているためだ。
同サービスを見たレコード会社の幹部は、ユーザーがコミュニティを形成できる点を特に評価し、今後のオンライン音楽ビジネスの発展を予感させると述べる。Yahooのサービスは、デジタル音楽配信業者MusicNetの技術を一部ベースとして開発された。
同音楽サービスの事情に詳しい大手レコード会社の幹部は、匿名を条件に、「Yahooは音楽サービスにおける市場機会や、PtoPを利用した環境のもつソーシャルな側面について分析し、その結果を自分たちのサービスに反映させた」とコメントした。
Yahooがオンライン音楽市場に参入したことにより、同市場は今後、様変わりする可能性がある。MP3プレイヤーおよびデジタル音楽配信の両市場を独占するAppleは現在、両市場で70%程度のシェアを獲得している。
全世界で3億人以上のユーザーを抱えるYahooは、ほかに例を見ないほど大きな影響力をもつ企業だ。同社はすでに、ミュージックビデオやウェブラジオを配信するLaunchサイトを通して、ロイヤルティの高い顧客ベースを築き上げている。実際にレコード会社の幹部らは、Launchについて、新しいアルバムを発表する際、従来のラジオと同じぐらい重視されるチャネルになるだろうと述べる。
もっとも、Yahooが提供する音楽サービスの将来は、同社のマーケティング力に大きく左右されることになるだろう。ソニーやVirgin Digital、Microsoftなどの大手企業もiTunesに対抗するサービスを提供しているが、どのサービスも市場で大きな影響力をもつには至っていない。
それとは対照的に、AppleのiTunes Music Storeは、サービスを提供し始めてからの2年間で、4億曲以上の楽曲を販売している。10日にAppleは、デンマーク、ノルウェイ、スウェーデン、スイスの4カ国でもiTunes Music Storeのサービスを提供開始した。iTunes Music Storeは現在、19カ国で展開されている。
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