ITを使いこなせる者とそうでない者の社会的な格差が拡大する中、インターネットを使いこなせない保護者に育てられた子どもは、教育や就職などで困難な状況に追い込まれる可能性が高いと、研究者らが現地時間28日に警告を発した。
ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究者らが発表した調査レポートによると、保護者の多くが、インターネットの使い方を子どもに教えられるだけのスキルを持ち合わせていないことが判明したという。同調査は、9〜19歳の若者1511名と保護者906名を対象に行われた。
「宿題をやったり、進路に関する情報を収集したりするのに、若い人たちは、インターネットを利用するようになっている。そうしたなか、(インターネットから)取り残される一部の人達が受ける影響は、ますます深刻になっている」と、LSEのSonia Livingstone教授は述べている。「インターネットの利用方法を知らないことは、教育や就職などにマイナスに影響する」(Livingstone)
同調査では、インターネットを毎日または毎週利用する子どもの保護者は自身でもインターネットを頻繁に利用し、ウェブに精通している傾向が強いことが明らかになった。
また、インターネットの安全な利用方法を知っている人とそうでない人との間で、情報格差が広がっていることも分かった。
「調査を実施した保護者の約5分の1に相当する18%が、インターネットの安全な利用方法を子どもにどう教えたらよいか分からない、と回答している。ただし、子どもに対してインターネット教育を行うのは、保護者の仕事だと認識している人は多いようだ。回答者の67%が、保護者向けの適切なアドバイスをより多く行って欲しいと、IT業界や政府に求めている。また、全体の75%が、学校でより適切な指導をより多くの時間を割いて行って欲しいと回答している」(Livingstone)
また、調査レポートには「インターネット上でトラブルに巻き込まれることを保護者があまりに恐れ、子どものインターネット利用を禁止してしまうのは、逆効果だ。このような保護者に育てられた子供は、オンラインリスクに対する認識が欠如してしまう」と記されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス