Googleは、ブランド広告市場での需要の高まりを受け、バナー広告ネットワーク構築にむけて大きな1歩を踏み出そうとしている。
同社は米国時間25日に、「Site Targeting」プログラムを開始する。このプログラムでは、広告主がサードパーティの提携サイトにアニメーション画像を使った広告を掲載できるようになる。同社がこの種の広告を扱うのは初めて。これまで同社の2人の共同創業者は、この種のウェブ広告に反対の立場を取っていたが、今回の動きは同社がこの方針に別れを告げることを意味している(ただし、Google自体は今後もテキスト広告だけを表示する)
Googleはまた、広告主が広告を掲載するサードパーティサイトを指定できるようにする。これにより、広告主側はたとえばThe New York Timesのような大規模なサイトに広告を掲載するか、それとももっと規模の小さなサイトに掲載するかを選べるようになる。
同社の広告主の間では、かなり以前から、ウェブ上の宣伝活動の方法やサイトに関する裁量の幅を拡大して欲しいとの声が上がっていたが、今回の動きによりこの問題が解消される可能性もある。Googleの広告主らはこれまで、テキスト広告のなかに現れるキーワードを入札することしかできなかった。
この動きにともなって、Googleは初めてインプレッション(cost per impression:CPM) ベースでの広告入札を受け入れることになる。同社ではこれまで、1クリックあたりいくら(cost-per-click:CPC)という形の入札しかなかった。CPMベースの料金はテレビCMのようなブランド広告のそれに近く、広告を目にする人数をもとに料金が決まる仕組み。それに対して、CPCでは広告がクリックされた回数に応じて料金を支払うことになっている。
Googleは今回の動きにより、1990年代後半に人気を博したオンライン広告ネットワークの復活に一役買うことになる。当時は、DoubleClickや24/7 Media、Engageといった業界最大手企業が、数万サイトの広告販売をコントロールし、料理やスポーツといった専門分野に基づいてバナー広告などターゲットを絞り込んだディスプレイ広告を配信していた。
また、DoubleClickらはバブル崩壊前に、数多くのウェブサイトでユーザーの行動に焦点をあてたターゲット広告を開始した。これらの企業の多くは、ドットコム・バブルの崩壊とともに業績が低迷したが、それとほぼ同じ時期に、Googleの大きな特徴でもある費用対効率の高い検索マーケティングが主流になり始めた。
今日、FastclickやAdvertising.comといった広告ネットワークが、多少勢いを取り戻しているものの、かつての地位を取り戻すには至っていない。その結果、Googleが大きな競争力を持った存在になる可能性がある。
「これで広告ネットワークが復活する」というのは、検索エンジンマーケティング企業Did-It社長のKevin Lee。同氏によると「今後Googleが、グラフィカルバナーを配信する広告ネットワークと真っ向勝負することになることから、これは大きな出来事だ」という。
Leeはさらに、「(Googleは)明らかにブランド広告主をターゲットにしようとしている」と付け加えた。
最大のライバルであるYahooは先ごろ、リッチメディアやビデオを使ったディスプレイ広告への需要の高まりから、ブランド広告ビジネスが勢いを増していると述べていた。同社は先週、ブランド広告を含む広告ビジネスの年間売上が10億ドルを上回ったと発表した。
GoogleのSite Targetingプログラムは、米国時間25日に実験的に導入され、その後2週間かけて全面的に展開されるという。広告主は、個別のウェブサイトだけでなく、たとえばワイン好きといったカテゴリー別でも掲載サイトを指定できるという。
広告主が支払う最低入札金額は1000人あたり2ドルだが、他の広告主と同じ広告在庫を争わなくてはならないため、人気の高いキーワードやウェブサイト、カテゴリーについては、料金が高騰する可能性もある。
Googleでは、初めてアニメーション画像を使った広告を扱うことについて、いくつかの制限を設けるとしており、たとえばウェブ全体でよく見かける無限に動き続けるようなものは受け付けられないという。
この種の動きのある広告をこれまで扱わなかったことについて、グーグル関係者は、「現在インターネットに見られるこの種の広告に、われわれが反感を持っているというわけではない。ただ、広告をいっそう有効かつ関連性の高いものにしたいだけだ」と説明している。
[編集部注]
グーグルの日本法人に確認したところ、国内でもこのサイトターゲティング広告は数週間内に開始されるという。サイトターゲティング広告が表示されるのは、AdWords広告の掲載を採用しているパートナーサイト(大手サイト以外にAdSenseを掲載する小規模サイトも含む)となり、広告主は、これらのサイトから自分が表示させたいカテゴリーやサイトを選ぶことになる。
また、サイトターゲティング広告で採用されているオークション方式は、AdWords広告の入札とも競り合う形式となっており、表示される広告はサイトターゲティング広告もAdWords広告(AdSense)もいずれも含んだ中で入札価格などが高かった広告が掲載されることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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