今週、ジョージア工科大学とPalo Alto Research Center(PARC)の研究者らが、世間一般のサラリーマンにApple Computerのデジタル音楽ソフトを使わせたときの行動についてまとめた研究論文を発表した。
この研究グループによると、社内ネットワークで音楽プレイリストを共有する行為は、オスのクジャクが羽を広げるようなものであり、ユーザーは新車を買ったり携帯電話を見せびらかすのと同じように、他人に公開する曲によって自分のイメージを積極的に作り出そうとしているという。
「(自分のプレイリストを)調べてみて、『他の人がこれを見たら、自分に対してどんなイメージを持つのだろうか』と自問した」と、この研究に参加した被験者の1人は述べている。「存在を他人に知られたくない不快なものが混じっていないかどうかをチェックした」。
プレイリスト不安症は最近になって出てきたものではない。他人のハードディスクからローカルネットワークに楽曲をストリーム配信できる機能をAppleが投入した直後から、大学のキャンパスでは既にこのような現象が指摘されていた。
実際、Weird Alの作品中心のコレクションが見つかって気まずい思いをする新入生など、公に恥をかくのはありふれた光景かもしれない。だが、ジョージア工科大学の研究は、この論法を初めてサラリーマンの世界に当てはめたものだ。
今のところ、この調査結果は典型的とまで行かず、人に依存するレベルだ。研究者らは、名称の伏せられたある会社で、iTunesの利用状況と、プレイリストを見たときの他人に対する認識について、13人の人にインタビューを行った。
研究者らは個人プレイリストの取捨選択に加え、ユーザーが他人のコレクションをどのように閲覧し、判断しているのかについても詳しく述べており、音楽ライブラリの内容によって同僚の認識が劇的に変化することはない、というのが一般な意見だった。ただ、あまりにも最新ヒットにこだわりすぎる例外が1〜2人いた。
そのほか、この研究グループはソフトウェア開発者に対して将来に向けた助言も記している。同調査によると、iTunesを使って新曲をランダムに試聴するユーザーはあまりおらず、代わりにまずオフラインで耳にして気になった曲を、同僚のライブラリのなかから探し出して試聴することが多い。また、検索ツールをもっと改善して欲しいという要望があった。
同様に、他人のライブラリに愛着を覚えるあまり、そのコンピュータの接続が切れると喪失感を味わう被験者がいたと、この研究者らは述べている。また、iTunesなどのプログラムが、入手できない曲に関する幽霊プレイリスト情報のようなものを作成し、それを購入させるようなこともできる、との指摘もあった。
この論文は今週オレゴン州ポートランドで開かれた「Conference on Human Factors in Computing Systems」で発表された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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